(part.2) 第114回歯科医師国家試験 削除問題 解説 (必修 D-19)

第114回歯科医師国家試験の個人的にピックアップしておきたい問題を、シリーズもので定期的に解説しています。

本日紹介する問題は D-19です。

取り上げる問題は、必修問題として妥当ではなく、正解者には加点、不正解者は削除となった問題の1つを、毎回ピックアップしていこうと思います。

放射線治療における晩期反応組織はどれか。1つ選べ。

a.骨髄

b.脊髄

c.粘膜

d.皮膚

e.生殖腺

まずはいつも通り、知識の確認から行きましょう。

細胞は増殖、分化、成熟、そして死へと向かっていきます。

細胞動態でいいますと、細胞再生系と条件付き細胞再生系にわけることができます。

①細胞再生系。

幹細胞が1個、2個と分かれていくと、増えた分の1個、2個の細胞が増えて、わかれて、熟して死んでいきます。

数としては変わらないのでこの状態を平衡といいます。

細胞の再生が早いので放射線の影響をうけやすく、俗にいう早期組織反応として影響を受けやすいです。

骨髄や皮膚、粘膜上皮、水晶、生殖腺などといった放射線照射後、数週間以内に組織が減ってしまうものです。

②条件付き細胞系。

分化して機能をもった細胞たちが多く、一部だけ幹細胞がある状態。

増殖能力があるものの、ふだんは増えず、組織がなくなってから再生をはじめるタイプです。

このようなタイプに放射線を浴びせると、

増殖しにくい上に支持組織である血管系もダメージをうけ、なかなか回復しないものです。

これらの代表例として、脊髄、肺、腎臓、唾液腺、下顎骨が上げられ、晩期組織反応として良く名前があがるものです。

以上の知識を確認したうえで選択肢の枝をみてみると、

早期組織反応

→骨髄、粘膜、皮膚、生殖腺。

晩期組織反応

→脊髄。

と分けることができ、正解に辿り着くことができます。

この知識がもし欠けていた場合、筆者ならどうするか。今回は他分野をまたがる横断、そしてグルーピングをお伝えしようと思います。

たとえば、この選択肢。

細胞の放射線の影響ですが、放射線をあびてダメになったら、新しいものに変えればいいのではと思うのが普通ですよね。古くなった靴を買い替えるみたいなものです。

つまり、ターンオーバーや永久細胞、安定細胞、不安定細胞といった観点に着目しましょう。

選択肢は、

骨髄、脊髄、粘膜、皮膚、生殖腺。

この中でどうですか?

粘膜や皮膚、生殖腺は細胞のターンオーバー、

くるくる回転するイメージがありますよね?

また、硬いものと柔らかいものとでグループにわけると自然と切れますよね。

となると残りは骨髄と脊髄になるわけですが、

試験会場で迷った際、どうでしょう?

単純に考えると、

血がいっぱい詰まったフレッシュな骨髄と、

血はあるにはあるけれども、なんだかよくわかんない液体にひたされてそうな脊髄と考えればこっちのもんです。

脊髄って答えが一つに決まります。

5択ゆえに簡単にもう少し捉えて解くのも一つの手です。

また、病理の知識を導入して、

永久細胞(再生しない細胞)

→心筋細胞、中枢神経細胞(大脳、小脳、脊髄)

安定細胞(再生能力が低い細胞)

→肝細胞、腎上皮細胞、内分泌細胞、筋肉

不安定細胞(再生能力が高い細胞)

→皮膚上皮、粘膜上皮、血液細胞、骨細胞、

繊維芽細胞

を連想ゲームみたいに発想しても答えに辿り着くことができそうですよね。

この問題からこのように病理の知識の復習。

癌細胞だったら抗がん剤などの整理。(112回c-39にもありましたよね?解きっぱなしなんてまさかもったいないことしてませんよね?)

そして、自分で類題を作ってみること。

この問題の主題を条件付き細胞系と変えても

答えは同じで類題を作ることはできます。

一つの問題から最大限のコストパフォーマンスを得ること。これが大事です。

間違ってもこの答えはBDEだわ!といった風に覚えきってはいけません。いいですね?

☆☆☆まとめ☆☆☆

①毎年トレンドの放射線の影響の再確認!

(113D-1も参考にしてみてくださいね。)

②他分野にまたがった知識を一つの問題から連想ゲームをしていくこと!

③単純に考えてグループ化していくのはとても有効ですよ!

以上の3つのポイントを参考に有意義な受験生活をお過ごしくださいね。

当塾では他にも受験テクニック、臨床の流れを踏まえた上での解くことに特化した解き方も伝授します。

また、実際に問題を解きながら他にはどんな疾患が考えられるのか生徒と先生が話し合いながら一つの問題からたくさんのパフォーマンスを引き出し、歯科医師国家試験という連想ゲームを楽しみながら受験生活を送ることが出来るかと思います。

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