第114回歯科医師国家試験の個人的にピックアップしておきたい問題を、シリーズもので定期的に掲載しています。
本日紹介する問題はA-10です。
必修問題として妥当ではなく、設問が不明瞭で、正解が得られないために削除となった問題です。
舌の分界溝に開口するのはどれか。
1つ選べ。
a.脂腺
b.後舌腺
c.Ebner腺
d.アポクリン腺
e.Blandin-Nuhn腺
解剖は正しい場所を押さえることが肝です。
舌は、前3分の2と3分の1とでわけられています。
そこで神経の支配も味覚、体性感覚ともに違うこともみなさん受験のうえで復習しているのではないかと思われます。
このわける場所のことを分界溝といい、
そのまえを舌体。その後ろを舌根というわけです。
そして、この分界溝の前にあるものが有郭乳頭であり、その粘膜にあるのが、エブネル腺です。 いやらしいことに英語で表記されています。(日頃から教科書で英語を読むことが大事ではありますが、、)
ささいな日本語の言葉のニュアンスで削除となってしまいましたが、おそらく作成者が正解にしたかった問題なのでしょう。
さてさて、確認はこの程度にしまして、
ほかの枝をグループに分けたり、確認していきましょう。
b.後舌腺
c.Ebner腺
d.アポクリン腺
e.Blandin-Nuhn腺
アポクリン腺と脂腺は開口形式からもってきた枝、
後舌腺、エブネル腺、Blandin-Nuhn腺は唾液腺の名前からもってきた枝だとわかります。
少し教科書を読んだり、知識の確認をすることでグループわけしやすくなるので参考にしてみてくださいね。
ここまで分けたのでとりあえず、開口形式について確認していきましょうか。
開口形式:
細胞の分泌の仕方をそうよびます。
一つ目は、細胞が開いて、分泌物だけ出るので開口分泌といいます。エクリン汗腺がそうです。
二つ目は、分泌物をだす細胞自体がちぎれて、細胞自体も分泌されます。これをアポクリン腺といいます。
(余談ですが、あの子、なんだかいい匂いする。これってフェロモン?!ってものがこれです。)
わきの下や外耳道、乳腺とかが当たります。
三つ目は、ホロクリン分泌といって、細胞全部がちぎれて分泌されるものです。
(今となってはみかけませんが、ファミレスでリーマンがよく顔をふいて取っている、アレです。)
以上のように””身近なものを例えに暗記していくのはわかりやすいですね。
参考にしてみてください。
ちなみに口腔外科でよくBlandin-Nuhn嚢胞という言葉よく聞きますよね。だいたいベロの前にできますね。
実は前舌腺の別名がBlandin-Nuhn腺と言ったりするんです。
一つの言葉でも言い回しが複数、存在する。
これに気をつけながら暗記してみてください。
そして、問題が「どのグループと、どのグループで作られた問題であるか」と枝を意識しながら解いてみてくださいね。
☆☆☆まとめ☆☆☆
①解剖は場所で覚えよう!
②グループ分けするのには、多少知識が必要!
つまり、教科書は読み込もう。
③身近なもので例えると解きやすい。そして、いろんな言い回しをする用語はしっかり整理しよう!
以上のポイントを参考に有意義な受験生活をお過ごしくださいね。
また、実際に問題を解きながら他にはどんな疾患が考えられるのか生徒と先生が話し合いながら一つの問題からたくさんのパフォーマンスを引き出し、歯科医師国家試験という連想ゲームを楽しみながら受験生活を送ることが出来るかと思います。