115B-51
17歳の男子。下顎右側臼歯部の腫脹を主訴として来院した。5か月前に気付いたが痛みがないためそのままにしていたところ、徐々に腫脹が増大してきたという。診察の結果、顎骨保存療法を行うこととした。初診時の口腔内写真、エックス線画像、CT及び生検時のH-E染色病理組織像を示す。
術前に説明が必要なのはどれか。2つ選べ。
a 顔貌の変形
b 再発の可能性
c 下唇の運動障害
d 埋伏智歯の萌出誘導
e オトガイ部の知覚異常
【エナメル上皮腫】
今回の疾患は「エナメル上皮腫」である。
良性上皮性腫瘍の中で発生頻度が高く、若年者を中心に下顎大臼歯部に好発する。
特徴として、触診による羊皮紙様感、レントゲン上でのナイフカット状歯根吸収、病理組織像での星状網様細胞などがある。
顎骨保存外科療法は、顎骨の連続性を保ちながら、形態や機能の温存をめざす治療法であるが、
再発が問題となる。
115B-51 解答
17歳の男子。下顎右側臼歯部の腫脹を主訴として来院した。5か月前に気付いたが痛みがないためそのままにしていたところ、徐々に腫脹が増大してきたという。診察の結果、顎骨保存療法を行うこととした。初診時の口腔内写真、エックス線画像、CT及び生検時のH-E染色病理組織像を示す。
術前に説明が必要なのはどれか。2つ選べ。
a 顔貌の変形・・・顎骨保存療法を選択しているため、可能性は低い。
b 再発の可能性・・・顎骨保存外科療法は、再発が問題となる。
c 下唇の運動障害・・・顔面神経支配のため、障害が生じるとは考えにくい。
d 埋伏智歯の萌出誘導・・・智歯を萌出誘導する意義は低い。
e オトガイ部の知覚異常・・・オトガイ神経支配(下顎神経の枝)のため、損傷のリスクがある。
解答:a,e
エナメル上皮腫に関する問題は、予想問題として出題していた。
part83より(2022/1/22投稿) 参照