(part.7) 第114回歯科医師国家試験 正答率が低かった問題 解説(必修 A-19)

第114回歯科医師国家試験の個人的にピックアップしておきたい問題をシリーズもので定期的に解説しています。

本日紹介する問題は114A-19です。

こちらは、正答率が50%付近であった問題で、

実質合否を分けるボーダーの問題でしょう。

骨格性下顎前突にみられる特徴はどれか。

1つ選べ。

a.下顎臼歯の舌側傾斜

b.下顎切歯の唇側傾斜

c.上顎臼歯の舌側傾斜

d.上顎切歯の舌側傾斜

e.下顎歯槽基底弓幅径の狭小

必修の問題の解き方としては、

あからさまに浮いた選択肢に飛びつかない力も大事です。

ここではeが浮いているように見えるので、避けて問題を解いてみることです。

また、残りの選択肢についてですが、

過去の問題からデンタルコンペンセーションというワードを皆さんも聞いたことはないでしょうか。

下顎が前に出ているので、むりやり下唇で閉じようとするあまり、下顎切歯が舌側傾斜、

ベロにおされて上顎前歯が唇側傾斜するアレです。

これを知っていると、bとd?かな?と飛びついてしまいそうですが、書いてるものが真反対と困りました。どうしましょう。

残るはaとcですが、

もしカンで答えるのであれば、

下顎前歯だけでなく、下顎歯列全体として舌側傾斜となっているのではないか?

上顎前歯だけでなく、上顎歯列全体として頬側傾斜となっているのではないか?

と現場思考できるとしめたものです。

自然と答えのaが本番で選べるわけです。

このように、見たことがある問題、既存の知識から類推していく力を養っていくことも国試に受かるには必要な考え方といえるでしょう。

また、似た問題として、

112B-82が正面頭部X線規格写真として登場していますので、確認として解いてみてくださいね。

あとは、他の分野とまたがる知識と横断してみましょう。

みなさん、部分床の模型実習をした経験はありませんか。

その際、エーカースクラスプを下顎臼歯にかける際、クラスプ鉤尖を舌側に入れませんか?

その経験を現場で思い出すだけでもかなり選択肢を絞り切ることができると思います。

また、歯の萌出経路をイメージしてみても解ききれます。

上顎は遠心にむかってから近心に萌出する傾向であり、頬側に向かって生えます。

下顎は近心にむかって萌出し、舌側に向かって生えます。

これをイメージしてみてもアプローチとしては正解でしょう。

☆☆☆まとめ☆☆☆

1. みたことある問題、既存の知識から類推していく力を養っていくこと。

2.他の分野とまたがる知識や、臨床実習や模型実習をイメージして問題を解いてみるコト!

以上のポイントを参考に有意義な受験生活をお過ごしくださいね。

また、実際に問題を解きながら他にはどんな疾患が考えられるのか生徒と先生が話し合いながら一つの問題からたくさんのパフォーマンスを引き出し、歯科医師国家試験という連想ゲームを楽しみながら受験生活を送ることが出来るかと思います。