(part11) 第114回 歯科医師国家試験 削除問題 解説 (必修 C-17)

第114回歯科医師国家試験の個人的にピックアップしておきたい問題を、定期的に掲載しています。

本日紹介する問題は C-17 です。

こちらは、問題として適切であるが、必修問題としては妥当でないため、正解した受験者については採点対象に含め、不正解の受験者については採点対象から除外された問題です。

血管平滑筋を収縮させるのはどれか。

1つ選べ。

a コリンエステラーゼ

b アデニル酸シクラーゼ

c ミオシン軽鎖キナーゼ

d プロテインキナーゼ

e アルカリホスファターゼ

まずは知識の整理から行いましょう。

・アセチルコリンは、

コリンアセチルトランスフェラーゼ

略してCATによって、

コリンとアセチルCo Aから作られます。

アセチルCo AのくだりはTCA回路を

生化学と踏まえてもう一度復習してみて下さいね。 

そしてトランスポーターでシナプス小胞に

取り込まれて貯蔵されます。

貯められたアセチルコリンは、

神経に活動電位が伝わると、カルシウムチャネルが開いて放出されます。

このアセチルコリンを分解するものが文字通り、

コリンエステラーゼです。。

このアセチルコリンエステラーゼを妨害する

有機リン系殺虫剤がからだにはいると無限にアセチルコリンがでるので副交感神経的な症状がでて

下痢になったり、気持ち悪くなったり涙が止まらなくなるのです。。

話は変わりますが、肝臓や血漿に偽性コリンエステラーゼもあるので、スキサメトニウムやプロカインといったエステル結合を持つものも分解します。

あとは血管平滑筋とα、β受容体、

Gタンパク質をまとめておきましょう。

・アデニル酸シクラーゼ

平滑筋に関して、

Gqタンパク質共役型受容体は、

血管平滑筋といったα1受容体。

ムスカリン性の

自律神経節の節後神経の興奮にかかわる

M1受容体。

平滑筋収縮や腺細胞の分泌↑にかかわる

M3受容体。

の三つが挙げられます。

機序として、

ホスホリパーゼC↑

IP3を介した細胞内カルシウム上昇↑

ミオシン軽鎖キナーゼ↑

血管平滑筋筋収縮!

となります。

一方で、

Gsタンパク質共役型受容体のほうは、

β受容体である

心筋↑のβ1受容体。

気管支ひろがるβ2受容体。

脂肪分解に働くβ3受容体。

の三つが挙げられ、

機序としては、

アデニル酸シクラーゼ↑

ATPからcAMPができる。↑

プロテイン/キナーゼが、

ミオシン軽鎖(というタンパク、プロテイン)を

分解します。つまり抑制!

カルシウム↓

血管平滑筋弛緩。。

上のようにまとめると、

血管平滑筋が確かにα1受容体で収縮とだけしか

暗記できていなかったことが、

こういった流れを押さえることで収縮の機序が

分かり、

β作動薬がついたときに血管が弛緩して、

心臓のほうが収縮する。。といったくだりが

よくわかるようになりますよね。

生理学や薬理は密接しており、

ここのへんは原理からおさえると楽になります。

今の時期だからこそ深められる知識、ですよね?

硬組織の問題が出たときに、アルカリホスファターゼは詳細をまとめるのでここでは割愛します。

以上の知識を持って解いてみると、

a コリンエステラーゼ

→アセチルコリン関係なので関係なし。

b アデニル酸シクラーゼ

→血管平滑筋の抑制の時に働く酵素の一つなので

バツ。

c ミオシン軽鎖キナーゼ

→こいつが活性化するくだりで血管平滑筋は

収縮するので正解!

d プロテインキナーゼ

→こいつがミオシン軽鎖というタンパク質(プロテイン)を分解してしまうのでだめ!

e アルカリホスファターゼ

→かたいもの→×

となるのでミオシン軽鎖が正解だとわかりますね。。。

また、ここから、もし知識がない状態で解くとするのなら、どう連想していくのか下のようにやってみましょう!

aseとつくものは酵素なので

何かを分解するもの、、と考えましょう。

そして、☆☆カタカナを分解してみましょう。

単語をきりのいいところで区切ると

推測しやすくなります。

あとは連想ゲームでやっつけてみてみましょう。

a コリンエステラーゼ

→コリンを分解する。

ということはアセチルコリンを分解する?

アセチルコリンは筋肉収縮に働くから

逆に収縮しないかも、、、

b アデニル酸シクラーゼ

→アデニル酸ってADEってくるから

ATPとかADPに関係しているものなのかな?

c ミオシン軽鎖キナーゼ

→ミオシンときくと

アクチンとミオシンの筋収縮の話を

思い出すな。

d プロテインキナーゼ

→プロテインを分解する?

タンパク分解??

e アルカリホスファターゼ

→アルカリホスファターゼ、、

ホスファはPだな…って考えると

硬組織関係なのかな??

と推測をしてみると、

Cが正解に近そうですね。

このように何個か前にもまとめましたが、

単語を切りのいいところで区切って分解して

みたり、

カタカナを日本語に書き直したりすることで

連想しやすくなるのでオススメ、、、!!!

☆☆☆今日のポイント☆☆☆

単語をきりのいいところで区切ると

推測しやすくなるのでおすすめ!!

以上のポイントを参考に有意義な受験生活をお過ごしくださいね。

実際に問題を解きながら他にはどんな疾患が考えられるのか生徒と先生が話し合いながら一つの問題からたくさんのパフォーマンスを引き出し、歯科医師国家試験という連想ゲームを楽しみながら受験生活を送ることが出来るかと思います。