第117回歯科医師国家試験臨床問題(A-25、A-30)

A-25
夜間の歯ぎしりを訴えて受診した患者の初診時の口腔内写真(A)、口腔内装置装着時の口腔内写真(B)、及び装着後1ヶ月経過した装置の写真(C)を別に示す。
夜間のみ装着するように指導しており、問題なく使用できているという。
患者への説明で適切なのはどれか。1つ選べ。
a 日中も使ってください。
b このまま使ってください。
c 上顎用の装置も作ります。
d すり減っている部分を削ります。
e あと1ヶ月使うと歯ぎしりが止まります。

とても簡単な問題ですが、バイトプレートの使用経験がないと悩んでしまうかもしれません。
バイトプレートは夜の歯ぎしりに対して主に使う、上顎用の装置です。
これだけ知っていれば、b以外は選べなかったのではないでしょうか。

A-30
64歳の男性。上顎右側第一小臼歯の欠損による咀嚼困難を主訴として来院した。診察の結果、インプラント義歯による補綴歯科治療を行うこととした。上部構造の精密印象採得を行う直前の口腔内写真(A)と試適後の個人トレー(B)を別に示す。
次に示す5つのステップで、3番目に行うのはどれか1つ選べ。

a 印象材の注入
b 印象体の撤去
c 接着剤の塗布
d 固定用スクリューの撤去
e インプラントアナログの連結

インプラント治療の印象の流れを問う問題です。
実習や臨床で経験がないとイメージしにくい問題だったのではないかと思います。

まず、(B)のトレーを見てわかる通り、トレーには穴が空いているのでオープントレー法での印象採得です。
オープントレー法は印象体が硬化した後、コーピングを印象体と一塊で撤去する方法なので、この問題では、1接着剤塗布、2印象材の注入、3固定用スクリューの撤去、4印象体の撤去、5インプラントアナログの連結の順になります。
よって答えはdとなるわけですが、インプラントアナログや固定用スクリューといった、インプラント治療でしか登場しない器具が、どういうものなのかを知らないと辛い問題になったのではないでしょうか。