part48 【オリジナル問題】(歯学史)

1728年に『LeChirurgienDentiste(歯科外科医)』を発刊し、「近代歯科医学の父」と呼ばれている人物は誰か。1つ選べ。
a G.V. Black
b J.Biden
c P.Fauchard
d R.Koch
e W.Miller

【歯科の歴史】
歯科の歴史に関する問題も出題されることが多いので抑えておきたいところです。

1728年に『LeChirurgienDentiste(歯科外科医)』を発刊し、「近代歯科医学の父」と呼ばれている人物は誰か。1つ選べ。
a G.V. Black 予防拡大原則に従った窩洞分類を考案
b J.Biden アメリカ合衆国第46代大統領
c P.Fauchard LeChirurgienDentiste(歯科外科医)を発刊
d R.Koch 炭疽菌、結核菌、コレラ菌の発見者
e W.Miller 化学細菌説を提唱

解答:c

part47 第114回歯科医師国家試験 D-29(小児) 正答率が低かった問題 37.5%

114D-29 正答率:37.5% (小児)
哺乳齲蝕が好発するのはどれか。2つ選べ。
a 上顎乳前歯
b 上顎第一乳臼歯
c 上顎第二乳臼歯
d 下顎乳前歯
e 下顎第二乳臼歯

【哺乳う蝕について】
乳幼児において、平滑面のエナメル質が広範囲に脱灰するう蝕です。
特に、上顎前歯部の平滑面や、第一乳臼歯の咬合面に重篤なエナメル質の欠損をもたらします。一方、下顎前歯部には認められない。
離乳期を過ぎても長期にわたって母乳や、ミルクあるいは糖質を含む飲料を哺乳瓶に入れて飲ませることによって生じるとされている。

114D-29 正答率:37.5% (小児) 解答
哺乳齲蝕が好発するのはどれか。2つ選べ。
a 上顎乳前歯
b 上顎第一乳臼歯
c 上顎第二乳臼歯
d 下顎乳前歯
e 下顎第二乳臼歯

解答:a,b

☆離乳の完了(生後12~18か月ころ)であり、第二乳臼歯が萌出(2歳頃~)であることを考えると、今回の問題の選択枝から第二乳臼歯を除外できるはずである。

part46 第114回歯科医師国家試験 B-33(小児) 正答率が低めだった問題 73.0%

114B-33 正答率:73.0% (小児)

114B-33 正答率73.0% (小児)
※画像等はこちらをご覧ください。

8歳の男児。下顎左側第一小臼歯の冷水痛を主訴として来院した。1か月前から自覚していたが、そのままにしていたという。自発痛と打診痛はない。
初診時の口腔内写真とエックス線画像を示す。適切な対応はどれか。1つ選べ。
a 経過観察
b コンポジットレジン修復
c アぺキソゲネーシス
d アぺキシフィケーション
e 抜 歯


【小児のう蝕診断】
正答率73.0%と低めの問題でしたが、良問であり感動しました。
繰り返しになりますが、皆さんが歯科治療を行う上で、まず重要になってくるのが「診断」です。
問題を解く際、患歯が乳歯か永久歯、根未完成かどうか、生活歯か失活歯を正確に判断し、
病名、適切な治療法を決定してください。


左下4に咬合面に着色と実質欠損。咬合平面に達していない。


咬合面に透過像(歯髄にまで達していない)。歯根は未完成。

114B-33 正答率:73.0% (小児) 解答
8歳の男児。下顎左側第一小臼歯(永久歯)冷水痛(生活歯)を主訴として来院した。1か月前から自覚していたが、そのままにしていたという。自発痛と打診痛はない。初診時の口腔内写真とエックス線画像を示す。適切な対応はどれか。1つ選べ。

診断: 下顎左側第一小臼歯う蝕 (C2)

a 経過観察 冷水痛があり咬合面にカリエスを認めるため、う蝕処置が必要である。

b コンポジットレジン修復 口腔内に咬合面に着色がみられ、エックス線にて象牙質までのカリエスを認められ、冷水痛もあることからう蝕 (C2)と診断される。

c アぺキソゲネーシス 未完成の幼若永久歯がう蝕などにより露髄した場合に、歯髄が生活している根尖を生理学的な根尖の発育によって閉鎖させる歯髄由来の治癒形態を狙った処置法であり、今回は歯髄に感染は起きていないため不適応。

d アぺキシフィケーション 歯髄が失活した歯根未完成歯の根尖を硬組織で閉鎖させようとする治療法であり、今回は生活歯であり、また歯髄処置も行う必要もないので不適応。

e 抜 歯 今回の患歯は下顎左側第一小臼歯(永久歯) であり、象牙質に限局したう蝕(C2)であり、う蝕処置により治療可能のため、抜歯を行う必要は全くない。

解答:b

part45 【オリジナル問題 114B-28 類題】

【オリジナル問題】
成長期の下顎骨における骨添加部位はどれか。すべて選べ。
a 下顎頭上縁
b 筋突起前縁
c 下顎枝前縁
d 下顎角外面
e オトガイ部

【下顎骨の成長発育】
すべて選べしましたが、難易度はさほど変わらないと思います。

【オリジナル問題】 解答
成長期の下顎骨における骨添加部位はどれか。すべて選べ。
a 下顎頭上縁 (添加+)
b 筋突起前縁 (吸収ー)
c 下顎枝前縁 (吸収ー)
d 下顎角外面 (添加+)
e オトガイ部 (添加+)

解答: a,d,e

part44 第114回歯科医師国家試験 B-26(小児) 正答率が意外と低かった問題 83.7%

114B-28 正答率:83.7% (小児)
成長期の下顎骨における骨吸収部位はどれか。1つ選べ。
a 下顎角外面
b 下顎枝後縁
c 下顎頭上縁
d 筋突起上縁
e 前歯歯槽部唇側面

【下顎骨の成長発育】
正答率が83.7%と下顎骨の成長発育は覚えてしまえば解ける問題なので間違えてしまうともったいないです。

下顎骨は、下顎枝の後縁で骨添加、前縁で骨吸収が起こり、下顎頭では軟骨内骨化と添加性の成長が起こるため下顎骨は後上方に成長する。
内側面は骨吸収、外側面は骨添加され側方に成長していく。
ただし、前歯部歯槽部は舌側面に添加され唇側面で吸収されるので留意する必要がある。

●下顎骨の添加・吸収
下顎頭…上縁(添加+)
筋突起部…後縁(添加+), 前縁(吸収-)
下顎枝…後縁(添加+), 前縁(吸収-)
下顎角部…外側面(添加+),内側面(吸収-)
下顎骨体…外側面(添加+),内側面(吸収-)
オトガイ部(添加+)

114B-28 正答率:83.7% (小児) 解答
成長期の下顎骨における骨吸収部位はどれか。1つ選べ。
下顎角外面 (添加+)
下顎枝後縁 (添加+)
下顎頭上縁 (添加+)
筋突起上縁 (添加+)
e 前歯歯槽部唇側面 (吸収-)

解答: e

☆前歯歯槽部唇側面は骨吸収部位である。これにより永久歯は乳前歯よりも唇側傾斜し、
歯列弓周長が増大する。

part43 第114回歯科医師国家試験 B-77(小児) 正答率が低かった問題 37.5%

114A-81 正答率:37.5% (小児)
萌出性歯肉炎の好発部位はどれか。3つ選べ。
a 上顎前歯部
b 上顎小臼歯部
c 下顎小臼歯部
d 上顎大臼歯部
e 下顎大臼歯部

【萌出性歯肉炎の好発部位】
この問題は正答率:37.5%と、低かった。
小児の場合、ブラッシング不良によるプラークが原因の歯肉炎が多い。

萌出性歯肉炎は、歯の萌出途中に歯冠周囲のプラーク沈着などが原因で生じる。
辺縁歯肉が発赤、腫脹し、ブラッシング時の出血や疼痛を伴うこともある。

歯の萌出完了に伴い炎症は改善し治癒するが、不潔になると炎症が進んでしまうので、
ブラッシングにより清潔に保つことが重要です。

■萌出性歯肉炎の好発部位
上顎前歯部
 口呼吸の影響で増悪しやすい。
上下顎大臼歯部
 プラークが沈着しやすい。

☆上顎前歯部+小児がブラッシングしづらいであろう大臼歯に好発する。

114A-81 正答率:37.5% (小児) 解答
萌出性歯肉炎の好発部位はどれか。3つ選べ。
a 上顎前歯部 口呼吸の影響で増悪しやすい
b 上顎小臼歯部
c 下顎小臼歯部
d 上顎大臼歯部 プラークが沈着しやすい。
e 下顎大臼歯部 プラークが沈着しやすい。

解答: a,d,e

【オリジナル問題 】(接着) 国試参照

【オリジナル問題】(接着) 国試参照

【オリジナル問題】(接着)
※画像等はこちらをご覧ください。

以下に2つのインレー修復物の画像を示す。装着の手順の組み合わせで正しいのはどれか。
1つ選べ。
(ア)咬合調整 (イ)接着 (ウ)隣接接触の強さの確認 
  
a Ⅰ (ウ)→(ア)→(イ) Ⅱ (ウ)→(ア)→(イ)
b Ⅰ (ウ)→(ア)→(イ) Ⅱ (ウ)→(イ)→(ア)
c Ⅰ (ウ)→(イ)→(ア) Ⅱ (ウ)→(ア)→(イ)
d Ⅰ (ウ)→(イ)→(ア) Ⅱ (ウ)→(イ)→(ア)
e Ⅰ (ア)→(イ)→(ウ) Ⅱ (ア)→(ウ)→(イ)



【CRインレーとメタルインレーの接着手順】

CR(コンポジットレジン)インレーを装着にあたって(セラミックの場合も)は強度の低いCRの破折を防ぐにために、メタルインレーとは異なる手順によって装着する。

Ⅰ CRインレー
Ⅱ メタルインレー

【オリジナル問題】国試参照 解答
以下に2つのインレー修復の画像を示す。装着の手順の組み合わせで正しいのはどれか。
1つ選べ。

(ア)咬合調整 (イ)接着 (ウ)隣接接触の強さの確認 
  
a Ⅰ (ウ)→(ア)→(イ)  Ⅱ (ウ)→(ア)→(イ)
b Ⅰ (ウ)→(ア)→(イ)  Ⅱ (ウ)→(イ)→(ア)
c Ⅰ (ウ)→(イ)→(ア) Ⅱ (ウ)→(ア)→(イ)
d Ⅰ (ウ)→(イ)→(ア) Ⅱ (ウ)→(イ)→(ア)
e Ⅰ (ア)→(イ)→(ウ) Ⅱ (ア)→(ウ)→(イ)

解答 c



Ⅰ CRインレーの場合
(ウ) 隣接接触の強さの確認→(イ)接着→(ア)咬合調整

Ⅱ メタルインレーの場合
(ウ) 隣接接触の強さの確認→(ア)咬合調整→(イ)接着

となる。

part42 第114回歯科医師国家試験 D-35(保存) 正答率が思ったより低めだった問題 78.6%

114D-35 正答率:78.6% (保存)

114D-35 正答率78.6% (保存)
※画像等はこちらをご覧ください。

50 歳の男性。上顎左側第一大臼歯の修復物脱離を主訴として来院した。15 年前に修復治療を受けたという。診断をした結果、修復物を新製し、接着性レジンセメントで装着することとした。完成した修復物の写真を示す。
この後、修復物装着前に行うのはどれか。3つ選べ。
a 咬合調整
b シラン処理
c 辺縁のすり合わせ
d レジンコーティング
e 硫黄系機能性モノマー処理

【メタルインレーの装着】 『保存修復学第6版』 第6章間接修復 参照

この問題は正答率が思ったより低く、驚いた。

メタルインレー修復(間接修復)に関する問題です。メタルインレーは金属なので、装着前に口腔外で調整することが容易です。その方が、装着後の調整量を少なくすることができ、有益です。

メタルインレー装着時の大まかな手順としては、基本的に①コンタクトの調整→②マージン調整→③咬合調整→④研磨→⑤接着面処理→⑥装着の順である。

あと、それぞれの修復物によってどのような前処理をするかも覚えておく必要がある。

修復物はメタルインレー(金属)である。

114D-35 正答率:78.6% (保存) 解答
50 歳の男性。上顎左側第一大臼歯の修復物脱離を主訴として来院した。15 年前に修復治療を受けたという。
診断をした結果、修復物を新製し、接着性レジンセメントで装着することとした。完成した修復物の写真を示す。
この後、修復物装着前に行うのはどれか。3つ選べ。

a 咬合調整 金属であり、修復物装着前に済ませておくとスムーズである。
b シラン処理 陶材等の修復物内面に行う、金属には行わない。
c 辺縁のすり合わせ 装着前に済ませておく。
d レジンコーティング 窩洞形成後、歯髄保護等を目的に行うものであり、修復物完成後に行うのはナンセンスである。
e 硫黄系機能性モノマー処理 メタルプライマーであり金属接着面に塗布する。

解答 a,c,e

part41 第114回歯科医師国家試験 A-81(保存) 正答率の低めだった問題 60.4%

114A-81 正答率:60.4% (保存)

114A-81 正答率60.4% (保存)
※画像等はこちらをご覧ください。

63 歳の男性。下顎右側第二大臼歯の食片圧入を主訴として来院した。5年前に左下7の齲蝕治療を受けて症状なく経過していたが、1週前から自覚するようになったという。エアーで一過性の疼痛を認める。診断をした結果、コンポジットレジン修復を行うこととした。初診時の口腔内写真と使用する器具の写真を示す。一連の治療過程を図に示す。

この器具を使用する時期はどれか。2つ選べ。
a ア
b イ
c ウ
d エ
e オ



【CR修復におけるウェッジの使用目的について】 『保存修復学第6版』 3. 歯間分離法 参照

今後皆さんが歯科医師になって臨床を行う上で、コンタクトカリエスの治療は何度もすることになるはずです。

その際重要なのが、いかに隣在歯を削ることなく治療するか、そしていかに修復の際、接触の回復を行うかです。

今回使用したのは木製のウェッジ(即時歯間分離法)ですか、
1回目はプレウェッジは歯間乳頭や隣在歯の保護や等を目的として用い、
2回目は通常のウェッジの目的であり填塞、接触の回復を容易にします。

※同じ器具でも使用するタイミングによって、目的が異なります。

左下7番近心に隣接面う蝕を認める。木製のウェッジ(歯間分離や隔壁の圧接効果がある)。

114A-81 正答率:60.4% (保存) 解答
63 歳の男性。下顎右側第二大臼歯の食片圧入を主訴として来院した。5年前に左下7の齲蝕治療を受けて症状なく経過していたが、1週前から自覚するようになったという。エアーで一過性の疼痛を認める。診断をした結果、コンポジットレジン修復を行うこととした。初診時の口腔内写真と使用する器具の写真を示す。一連の治療過程を図に示す。

この器具を使用する時期はどれか。2つ選べ。
a ア プレウェッジ 窩洞形成時、隣接歯歯面や歯間乳頭保護のため用いる。
b イ ウェッジを挿入したままでは隔壁を挿入できない。
c ウ ウェッジ 歯間部に隔壁挿入後、歯肉側窩縁に密着固定することによって接触の回復を容易にする
d エ ウェッジを挿入したままでは隔壁を挿入できない。
e オ 咬合調整の際は隔壁とウェッジを除去しないと邪魔になってしまいます。

解答 a,c

part40 第114回歯科医師国家試験 B-79(歯周) 正答率の低かった問題 47.8%

114B-79 正答率:47.8% (歯周)

114B-79 正答率47.8% (歯周)
※画像はこちらをご覧ください。

35歳の男性。下顎左側臼歯部の違和感を主訴として来院した。2年前から自覚していたがそのままにしていたという。診察と検査の結果、慢性歯周炎と診断し、歯周基本治療後に歯周外科治療を行うこととした。初診時の口腔内写真とエックス線画像を示す。再評価時の歯周組織検査結果の一部を表に示す。

左下6に対する治療方針として考えられるのはどれか。2つ選べ。
a 歯根分離
b トンネリング
c 近心根分割抜去
d FGF-2 製剤の応用
e Widman 改良フラップ手術



【根分岐部病変に対する外科処置】 「臨床歯周病学」第9章根分岐部病変の治療 参照

根分岐部病変に対する治療の問題を解く上で、重要になってくるのがその症例の重症度を知ることです。

主に軽度の際は再生療法などで、できるだけ回復させようにするのに対し、あまりに重度の場合は、今度は清掃性の向上などに重点を置きこれ以上症状悪化させないことが重要になってきます。

 本症例はLindheとNymanの分類で3度(重症)相当と考えられ、再生療法より清掃性の向上を目的とした外科処置が優先されると考えられる。

根分岐部露出、重度の根分岐部病変及び水平性骨吸収

114B-79 正答率:47.8% (歯周) 解答
35歳の男性。下顎左側臼歯部の違和感を主訴として来院した。2年前から自覚していたがそのままにしていたという。診察と検査の結果、慢性歯周炎と診断し、歯周基本治療後に歯周外科治療を行うこととした。初診時の口腔内写真とエックス線画像を示す。再評価時の歯周組織検査結果の一部を表に示す。

左下6に対する治療方針として考えられるのはどれか。2つ選べ。

a 歯根分離 小臼歯化することにより清掃性を向上し、患歯の症状悪化を食い止めることを目的に行う。
b トンネリング トンネリングをすることにより清掃性を向上し、患歯の症状悪化を食い止めることを目的に行う。
c 近心根分割抜去 これは、根尖まで及ぶ歯槽骨吸収が認められる場合に行い、本症例で近心根を抜去しても治療法にならない。
d FGF-2 製剤の応用 再生療法は1度~2度の根分岐部病変が適応となり、本症例のような重度でかつ、水平性骨吸収の症例で適応外となると考えられる。
e Widman 改良フラップ手術 歯周ポケット除去の目的として幅広い症例に用いられ、他の処置と併用されることも多いが、本症例のように重度の根分岐部病変の場合、この処置のみでは根本的な治療法にならないと考えられる。

解答: a,b