part56 第114回歯科国試 D-53(全部床) 正答率が低かった問題 41.7%

114D-53 (全部床) 正答率:41.7%

第114回歯科国試 D-53(全部床) 41.7%
※画像等はこちらをご覧ください。

73歳の女性。下顎義歯の前歯部粘膜面に食物が停滞しやすいことを主訴として来院した。使用中のインプラント義歯は8年前に装着し、義歯の維持には問題がないという。初診時の口腔内写真、義歯の写真、義歯装着時の口腔内写真及び適合試験の写真を示す。
原因として考えられるのはどれか。2つ選べ。

a 義歯の回転
b 人工歯の摩耗
c 前歯部の咬合接触
d アタッチメントの劣化
e 下顎臼歯部の顎堤吸収





【インプラントオーバーデンチャーについて】
無歯顎に対してインプラントを数本植立し、その上にアタッチメントを介して装着する
可撤性義歯である。インプラントを植立することで義歯の維持が向上し、咀嚼しやすくなる。
長期的に使用していると、アタッチメントの劣化や顎堤吸収の進行による義歯の動揺が見られることから定期的なメンテナンスが必要である。

ボールアタッチメントが確認できる。

臼歯部での咬合が確認でき、極端な咬耗などは見られない。

空隙などの問題は確認できない。

適合試験の結果、臼歯部で強接触が認められる。

114D-53 (全部床) 正答率:41.7% 解答
73歳の女性。下顎義歯の前歯部粘膜面に食物が停滞しやすいことを主訴として来院した。使用中のインプラント義歯は8年前に装着し、義歯の維持には問題がないという。初診時の口腔内写真、義歯の写真、義歯装着時の口腔内写真及び適合試験の写真を示す。
原因として考えられるのはどれか。2つ選べ。

a 義歯の回転 臼歯部の顎堤吸収により、垂直的な義歯の回転が起こる可能性がある。
b 人工歯の摩耗 臼歯部での咬合が確認でき、極端な咬耗などは見られない。
c 前歯部の咬合接触 義歯の写真より前歯部の強接触は認められない。
d アタッチメントの劣化 義歯の維持には問題がないため、劣化は考えられにくい。
e 下顎臼歯部の顎堤吸収  適合試験の結果、臼歯部で強接触が認められる。

解答: a,e

愛知学院2年の前期の成績が発表!今のうちから生理&生化を中心に復習しておきましょう。

デンタル国進では、愛知学院2年生を対象に、生理、生化、組織、理工の復習個別講座を開講します。
解剖学、歯科解剖(口腔解剖)、理工学などはそれぞれ
解剖学→外科学、歯科解剖→歯内、理工学→保存、補綴など、上の学年の当該科目にてセットで復習しやすいのに対し、
生理、生化は2年生で学んだ知識がベースになることが多いのです。
「今、学んだ生理、生化の知識を国試まで持っていくぞ!」
これぐらいの意識を持たないと、後々苦労してしまう可能性があります。

part55 第114回歯科国試 B-41(全部床) 正答率が低かった問題 63.5%

114B-41 (全部床) 正答率:63.5%
73歳の男性。咀嚼時の義歯の不安定を主訴として来院した。8年前に上下顎全部床義歯を装着したが、6か月前から咬合時に上顎義歯が脱離しやすくなったという。使用中の義歯の写真と義歯装着時の口腔内写真を示す。
まず行うべき処置はどれか。1つ選べ。
a 粘膜調整
b リライン
c 咬合面再形成
d 義歯床後縁の削除
e 前歯部の咬合調整

114B-41 (全部床) 正答率63.5%
※画像等はこちらをご覧ください。



★補綴の問題を解く上でのワンポイント
補綴系の問題は模型などの参考資料を使用しやすいため、画像問題が作りやすい傾向がある。他の領域では問題の文章中に重要なヒントが隠れていることが多いが、
補綴系の問題ではさらに画像から問題点を抽出する力がさらに重要になってくる。
学生の皆さんには「あれ?これなんかおかしいな」
こういった感覚を大切にしてほしい。その力を持つには日頃から資料をよく見る訓練が必要である。

【咀嚼時の義歯の不安定症例】

患者さん主訴を判断する上で重要になってくるのが、タイミングと種類である。
大きく
●タイミング
 ①装着時 ②咬合時 など
●種類 
 ①痛み ②不安定 など
今回の症例では②咀嚼時、②不安定が主訴であることを頭に入れておく必要がある。




製作して8年が経過し、大臼歯部が咬耗したため、前歯・小臼歯の強接触が認められる。
そのため、義歯装着時の口腔内写真では臼歯部が離開している。
治療方針としては、義歯新製時に近い状態にする=(大臼歯部)咬合面の再形成となる。

114B-41 (全部床) 正答率:63.5% 解答
73歳の男性。咀嚼時の義歯の不安定を主訴として来院した。8年前に上下顎全部床義歯を装着したが、6か月前から咬合時に上顎義歯が脱離しやすくなったという。使用中の義歯の写真と義歯装着時の口腔内写真を示す。
まず行うべき処置はどれか。1つ選べ。

a 粘膜調整 咀嚼時の粘膜痛等の症状がなく、装着時自体は問題ないため、粘膜調整やリラインの必要性はないと考えられる。
b リライン 咀嚼時の粘膜痛等の症状がなく、装着時自体は問題ないため、 粘膜調整やリラインの必要性はないと考えられる。
c 咬合面再形成 義歯の不安定が長年の使用により義歯の大臼歯部が咬耗したことによるもので、咬合面特に上下顎歯の機能咬頭にレジンを追加し、咬合面再形成をする。
d 義歯床後縁の削除 義歯床後縁にも咬合接触がみられるが、大臼歯部が咬耗によるもので、咬合面再形成をすることにより改善すると考えられる。
e 前歯部の咬合調整 原因が大臼歯部が咬耗したものによるもので、前歯部の咬合調整をしてしまうと、全体のバイトが下がってしまう。

解答:c