(歯学部のカリキュラム比較) 昔と今~全国的に前倒しカリキュラムに~

親御さんの世代と今の世代の歯学部のカリキュラムは大きく異なります。今では前倒しの傾向が全国的に見られます。

今の歯学部生は大変です。

2~30年前までは

1・2年基礎知識(生物、化学等)
3・4 歯科基礎(解剖、生理等)
5・6 歯科臨床 (保存、補綴等)
国試

だったのが、

今は

1・2 基礎知識、歯科基礎
3・4 歯科臨床
CBT.OSCE
5 病院実習、国試対策
6 国試対策、総合試験、模試
卒試
国試
のイメージでしょうか。

進学校の中高一貫校では、しばしば前倒しカリキュラムを実施していますが、あれの大学バージョンを目指す感じでしょうか。

この傾向は、私立だけに限らず、国公立でも見られます(もちろん私立ほどではないようですが。)

6年をまるまる国試対策にしたい意図が見えます。昔は6年かけていたものを、ほぼ4年に圧縮すれば、体感としては、1.5倍ではなく、3倍ぐらいの大変さがあるのではないでしょうか?

(愛知学院)来年から、独自の新しいカリキュラムが開始されます。入学年度のカリキュラムに縛られなくなります。

愛知学院は、来年度から、新しいカリキュラムがスタートします。

今年一年はそれを周知させる一年。

今までは、一人一人の生徒が、入学年度のカリキュラムに縛られてのシステムでした。

来年からは、入学年度のカリキュラムに縛られず、留年していても、していなくても、その時の最新のカリキュラムで、1~6年全員が動くシステムになります。

当然、進級した時に取れなかった科目などは、きちんと補強がありますので、心配ありません。留年した生徒も、逆に最新のカリキュラムに触れるほうが、国試でのハンディが減ると思われます。

さらに5、6年のために、臨床教育研究棟が建設されます(2023の8月には完成予定)。5、6年は、そこで今以上に、腰を落ち着けて学習することが出来るようになります。

全国的に見ても、今回の愛知学院の取り組みは画期的で、生徒&親が安心して、合格者を増やす上で、画期的な試みだと思われます。

やはり5年に進級したら、限りなく全員が進級出来て、無事に全員国試を受けれるほうが安心ですね。

(神奈川歯科2年)解剖学の対策について

デンタル国進には、現在神奈川歯科の生徒さんも数多く通塾されていますが、その指導の中から見えてきた特徴をまとめておきます。

2年でだいたい苦労する「解剖学」に絞ってみたいと思います。どのように対策をしたらいいのかを考えます。

(特徴)

神奈川⻭科⼤学2年の解剖学の特徴は、「浅く広く」ではないでしょうか。これは愛知学院⼤
学⻭学部のそれとは⼤きく異なります。

⼀つ⼀つの分野ごとに扱われる知識の深さに⼤きな差があります。

愛知学院⼤学の解剖学で問われる知識の知識量は、医学部並みに厳しいのですが、神奈川⻭科⼤学では、どちらかというと基礎レベルの知識が⼤多数を占めている印象を受けます。レジュメを⾒てみると、例えば泌尿器系の授業では、初めて解剖学を学ぶ生徒にも⼊りやすいように、「泌尿器系の総論」から始まり、腎臓、尿管、膀胱の基本的な性質、⼤きさや体内での位置、⾎管⾛⾏などの概略的な知識がまず紹介されています。

次にそれぞれの臓器についての各論的な知識で、より細かい知識、例えば腎臓のネフロンについての解剖とその機能などミクロレベルまでの解剖が、図を並べながら、時には学⽣にイラストを描かせながら載っている。

解剖学の勉強において、実際に⼿を動かして臓器のイラストを描くことは⾮常に有効で、当塾でも⽣徒と⼀緒にイラストを描き、そこに名前を書き込みな
がら授業を⾏なっています。名前だけでは掴みにくい臓器の具体的なイメージを植え付け、記憶としての定着を早めることが期待されます。

(対策)

上述のように、分野ごとにレジュメの質的な違いはあれど、神奈川歯科で総じて問われる解剖の知識レベルは、そこまで掘り下げたものではないという印象を受けます。時間的余裕のない方は、レジュメに載っている単語をひたすら丸暗記するのも⼿でしょう。逆に余裕のある方は、レジュメに登場した筋⾁や⾻格のイラストを、アトラス等を⾒ながら積極的に描いてみて、具体的なイメージを頭の中に染み込ませながら学習を進めていくことをお勧めします。実際レジュメに記載されている情報量は広く浅いものが多いので、⾃分で描いたイラストに、調べた知識を上乗せして書き込むことで、より幅広い知識が今度も問われていくと思われます。

(主に2年)解剖学の学習法について

金年、全国多くの歯学部においても、解剖学の難易度が上っていると感じられます。

学部本来の専門的分野である頭頚部・口腔系の解剖のみならず、全身にわたる幅広い解剖学的知識を要求する大学が増えています。

従って、解剖学の授業、実習内容も複雑になり、また試験対策も今まで以上に準備を要することとなっています。さらに悪いことに、このように難化した解剖学に直面するのは、入学したての1、2年なのです。しかも現在はコロナ下。。。

大学受験を終えたばかりの学生は、高校で培ってきた勉強法をそのままこうした医療系の学問に持ち込もうとする傾向がありますが、なかなかうまく行かないようです。それは当たり前のことで、根本的に勉強法が異なる(正確に言うと‘‘効率的’‘な勉強方法が異なる)ためです 当然レジュメの情報量も多くなり、どこから学習したらいいのか、多くの生徒が困っているようです。

当予備校では、学習方が困難な解剖学の現実的な学習法を指導しています。いかに限られた時間で、必要な知識を理解して、記憶するかを主眼としています。

part38 第114回歯科医師国家試験 必修 C-5 正答率86.4%

114C-5 (必修) 正答率86.4%
フェニックス膿瘍に転化するのはどれか。1つ選べ。
a 歯髄壊疽
b 急性単純性根尖性歯周炎
c 急性化膿性根尖性歯周炎
d 慢性単純性根尖性歯周炎
e 慢性化膿性根尖性歯周炎

【フェニックス膿瘍と根尖性歯周炎】 『歯内治療学(医歯薬出版)』第7章 6.根尖性歯周組織疾患の臨床病理と臨床症状 参照

臨床では自覚症状のない患歯の根管治療の直後に、急性炎症の症状が発現することがあります。

細菌感染などの外来病原的刺激と、生体の抵抗性が平衡状態にある慢性炎症が、治療中の刺激等により激しい急性炎症に転化することがあり、この状態を不死鳥に例えてフェニックス膿瘍と呼ばれます。

歯内治療において、フェニックス膿瘍とは、慢性化膿性根尖性歯周炎に罹患した歯の根管処置を行った直後に生じる急性化膿性炎の症状を言います。

根管治療時に根管内の汚染された内容物を拡大・形成の機械的操作によって根尖孔外に誤って押し出した結果、根尖歯周組織に組織抵抗性を越える病原物質が送り込まれて均衡が崩れ、慢性炎症が急性炎症に転化します。

慢性化膿性根尖性歯周炎を有する歯の歯内処置を行って発症することが多く、治療する根管の内容物の病原性を十分に注意して処置を行う必要があります。

114C-5 (必修) 解答
フェニックス膿瘍に転化するのはどれか。1つ選べ。
a 歯髄壊疽
b 急性単純性根尖性歯周炎
c 急性化膿性根尖性歯周炎
d 慢性単純性根尖性歯周炎
e 慢性化膿性根尖性歯周炎

解答 e

(松本歯科大学1~3年) 前期の再試は本年度も10、11月に実施予定。前期試験のすぐ後なので、生徒にしたら、本当に助かりますね。~デンタル国進 オンラインにて個別指導の受講可能~ 代表 052-220-5446  

松本歯科大学の前期試験は、今年は8月20(金)~9月3日(金)まで予定されています。多くの二期制の大学は、前期試験の再試は、翌年2月に実施されるところが多い印象ですが、松本歯科の場合は、前期の再試は10、11月に実施が予定されています。これなら、後期の学習と重なりますが、翌年2月に実施されるより、前期本試のすぐ後なので、落としすぎなければ、十分対応出来そうですね。

また、毎週実施されるWeekly Testという確認試験も、コンパクトにまとまっており、学習しやすいものです。試験はこれから、主に中心に出題されています。

松本歯科の生徒さん、前期の本試頑張りましょう!

デンタル国進では、対面&オンラインどちらの個別指導も受講可能です。お問合せはお電話にて(代表052-220-5446)

part37 第114回歯科国験 臨床問題(歯内) C-45 正答率が低めだった臨床問題 正答率61.2%

114C-45 正答率61.2%
※画像はこちらをご覧ください。

114C-45 正答率61.2%
80 歳の男性。上顎左側第一大臼歯の痛みを主訴として来院した。2週前から冷水痛があり、昨日から拍動性の自発痛を自覚しているという。打診痛を認める。診断をした結果、抜髄処置を行うこととした。初診時のエックス線画像と処置中のある操作時のマイクロスコープ写真を示す。

続いて行う操作で留意するのはどれか。2つ選べ。

a 歯髄の感染
b 髄床底の損傷
c 歯髄結石の残存
d 髄角部歯髄の残存
e 歯冠部感染歯質の残存

【高齢患者の歯内治療における留意点】

患者が高齢の場合、一般的に歯髄腔が狭窄、歯質の靭性が低下しており根管治療がしにくくなります。

高齢者の根管治療をする場合の注意点と問題の画像からどのようなリスクがあるか、知識と診査の力が必要となる問題です。

114C-45 正答率61.2% 解答
80 歳の男性。上顎左側第一大臼歯の痛みを主訴として来院した。2週前から冷水痛があり、昨日から拍動性の自発痛を自覚しているという。打診痛を認める。診断をした結果、抜髄処置を行うこととした。初診時のエックス線画像と処置中のある操作時のマイクロスコープ写真を示す。

続いて行う操作で留意するのはどれか。2つ選べ。

a 歯髄の感染 この後、抜髄処置を行うため操作中の歯髄感染を留意する必要はない。
b 髄床底の損傷 〇デンタル、マイクロ写真から天蓋と髄床底が近接していることがあり、根管口の探索中に誤って損傷しないよう留意しなくてはならない。
c 歯髄結石の残存 デンタル、マイクロ写真から認められない。
d 髄角部歯髄の残存 〇デンタルから歯髄腔が狭窄しており、髄角が突出しているのがわかる。これを残すと感染源となるため除去しなければならない。
歯冠部感染歯質の残存 マイクロ写真から認められない。

解答 b,d

part36 第114回歯科国験 問題(歯内) B-84 正答率が低めだった問題 正答率63.9%

114B-84 正答率63.9%
麻酔抜髄において即時根管充塡法によって低減できるリスクはどれか。
2つ選べ。

a 残 髄
b 根管の汚染
c レッジ形成
d 根管充塡材の溢出
e 根管充塡時の疼痛

【即時根管充填法の利点と欠点】

実際の臨床で即時根管充填する機会は限られていると思います。
(それは欠点のためと思われます。)
ですが、即時根管充填法の利点と欠点を理解することは、
数回に分けて根管治療をすることの利点を知る上で、重要になります。

〇即時根管充填法の特徴
<利点>
・治療の回数や期間を短縮できる。
・根管の感染の機会が減少する。

<欠点>
・残髄の確認ができない(残髄の可能性)。
・術後疼痛が生じやすい(残髄炎等による)。
・根管から出血が持続するような症例では適用できない。

114B-84 正答率63.9% 解答
麻酔抜髄において即時根管充塡法によって低減できるリスクはどれか。
2つ選べ。

a 残 髄 即時根管充塡法を行うと残髄の確認を行う機会がなくなり、リスクは増える。
b 根管の汚染 〇根管治療の回数が少なくなり、汚染のリスクは減る。
c レッジ形成 湾曲根管の不適切な根管拡大操作によって根尖付近に形成され、根充時期とは関係ない。
d 根管充塡材の溢出 根尖孔の破壊によって生じやすくなり、根充時期とは関係ない。
e 根管充塡時の疼痛 〇即時根管充塡は当日の麻酔抜髄後に行うため根管充塡時の疼痛のリスクは減る。


解答: b,e
 

part35 第114回歯科国験 臨床問題(歯内) D-58 正答率が低かった臨床問題 正答率58.8%

114D-58(歯内) 正答率58.8%
※問題の画像はこちらをご覧ください。

114D-58(歯内) 正答率58.8%
75 歳の男性。上顎右側第二大臼歯の抜髄治療中のマイクロスコープ写真示す。
次に行うのはどれか。1つ選べ。

a う齲除去
b 根管拡大
c 髄室開拡
d 根管口明示
e 根管長測定

【抜髄治療の流れについて】
この問題は正答率58.8%とA typeの問題にしては低くなっています。
抜髄治療の流れは
う蝕除去(a)→髄室開拡(c)→根管口明示(d)→根管長測定(e)→根管拡大(b)
というのは皆さん覚えていると思います。
この問題では現在がどこにあたるかを問うています。

114D-58(歯内) 正答率58.8% 解答
75 歳の男性。上顎右側第二大臼歯抜髄治療中のマイクロスコープ写真示す。
次に行うのはどれか。1つ選べ。

a う齲除去 着色した感染歯質は確認できず、すでに除去されていると考えられる。
b 根管拡大 まだ、すべての根管にアプローチできる状態になっていない。
c 髄室開拡 〇 天蓋の一部が残存しており、髄室開拡をする必要があると考えられる。
d 根管口明示 1根管のみしか探索できておらず、他の根管口を探索するためには
        c髄室開拡が必要と考えられる。
e 根管長測定 まだ、すべての根管にアプローチできる状態になっていない。

解答: c

part34 第114回歯科国験 臨床問題(歯内) B-80 正答率80.1%

114B-80(歯内) 正答率80.1%(2)
※画像はこちらをご覧ください。

114B-80(歯内) 正答率80.1%
55歳の女性。上顎両側中切歯の咬合痛を主訴として来院した。昨夜転倒し、同部を強打したという。打診痛は軽度で、動揺は生理的範囲であった。プロービング 深さは全周3mm 以下で、歯髄電気診に生活反応を示さなかった。初診時の口腔内写真とエックス線画像を示す。(口腔内写真、エックス線画像より露髄や破折などの所見なし)

適切な対応はどれか。 1つ選べ。
a 経過観察
b 暫間固定
c 抜 髄
d 感染根管治療
e 抜 歯

【外傷後の歯髄の生活反応について】

外傷歯において特に重要になってくるのが診断です。
それは診断によってその後の処置が大きく変わってくるからです。
受傷直後の歯髄は一時的に生活反応が示さなくなることがあります。よって十分な経過観察が必要になります。
今回の症例は55歳の女性で上顎両側中切歯の症例ですが、外傷歯の問題では
以下の項目に気をつけてみてください。

〇外傷歯の症例で気をつけるべき項目
・乳歯か永久歯か ・歯根未完成歯かどうか ・年齢 ・自発痛、打診、動揺なのどの有無
・露髄の有無 ・デンタル画像から破折の有無 ・外傷後の経過日数 など…。

念頭に入れていただきたいのが垂直破折など保存不可のものは基本的に抜歯
また、破折等はないものの露髄、自発痛があり、明らかな感染が疑われるのは根管治療が必要になるということです。
逆にそれらの症状がなければできるだけ保存的治療が望まれるということです。
 (交換時期の乳歯などは例外です)

そのことを頭に入れた上で問題を解いていきましょう。

114B-80(歯内) 正答率80.1% 解答
55歳の女性。上顎両側中切歯の咬合痛を主訴として来院した。昨夜転倒し、同部を強打したという。打診痛は軽度で、動揺は生理的範囲であった。プロービング深さは全周3mm 以下で、歯髄電気診に生活反応を示さなかった。初診時の口腔内写真とエックス線画像を示す。(口腔内写真、エックス線画像より露髄や破折などの所見なし)

適切な対応はどれか。 1つ選べ。

a 経過観察〇 受傷したのは昨夜であり、自発痛、露髄はなく、破折等の所見がない。
また、歯髄電気診に反応がないものの、一過性で回復の可能性があるため、まず経過観察。
b 暫間固定 動揺は生理的範囲のため固定の必要なし。
c 抜 髄 自発痛、露髄はなく、破折等の所見がないため根管治療の必要なし。
d 感染根管治療 ※数週間たっても歯髄の生活反応が戻らない場合に行う。
e 抜 歯 抜歯の適応となるような破折等の所見は認められないため行わない。

解答: a