part39 第114回歯科医師国家試験 A-50 正答率の低かった問題 24.2%

114A-50 正答率:24.2% (歯周)

114A-50 正答率24.2% (歯周)
※画像はこちらをご覧ください。

44 歳の男性。下顎左側臼歯部の違和感を主訴として来院した。9年前にstageⅠの舌癌の治療を受けたが、現在まで再発はない。歯周基本治療後の再評価の結果、 歯周外科治療を行うこととした。初診時の口腔内写真とエックス線画像を示す。再評価時の歯周組織検査結果の一部を表に示す。

適切な治療法はどれか。2つ選べ。
a 骨移植術
b FGF-2 製剤の応用
c 歯周ポケット搔爬術
d 歯肉弁根尖側移動術
e エナメルマトリックスタンパク質の応用



【歯周組織再生療法】 『臨床歯周病学』第24章ティッシュエンジニアリング 参照

近年、歯の喪失原因として歯周疾患が主なものとなり、MIの概念や再生療法が着目されていることから、今後の国試でも多く出題されることが予想されます。

その中でFGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)製剤が注目されていますが、
過敏症の既往歴のある患者と口腔内に悪性腫瘍のある患者又はその既往歴のある患者
(細胞増殖促進作用を有するため)が禁忌であることを覚えていれば解けると思います。

この症例は付着歯肉があり、6番近遠心に垂直性骨吸収を認めることがわかれば、歯周組織再生療法が適応となると考えられます。

114A-50 正答率:24.2% (歯周) 解答
44 歳の男性。下顎左側臼歯部の違和感を主訴として来院した。9年前にstageⅠの舌癌の治療を受けたが、現在まで再発はない。歯周基本治療後の再評価の結果、 歯周外科治療を行うこととした。初診時の口腔内写真とエックス線画像を示す。再評価時の歯周組織検査結果の一部を表に示す。

適切な治療法はどれか。2つ選べ。

a 骨移植術 歯周組織再生療法なので〇
b FGF-2 製剤の応用 口腔内に悪性腫瘍の既往のある患者の症例のため
FGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)製剤は避けるべき。
c 歯周ポケット搔爬術 浮腫性の浅い骨縁上ポケットが適応なため×
(この症例は深い骨縁下ポケット)       
d 歯肉弁根尖側移動術 付着歯肉幅の獲得などを目的としており、
本症例で付着歯肉は問題ないと思われるため×
e エナメルマトリックスタンパク質の応用 歯周組織再生療法なので〇

解答:a,e

※歯周組織再生療法には他にもGTR法などがあることを覚えておくと良いです。

後期募集の開始について~代表 052-220-5446

後期募集を開始します。面談&体験授業→入塾可能の流れです。

面談&体験授業は、各校舎での対面&オンライン両方可能です。

大学によっては、すでに前期の結果が出ているところもあり、頻繁にお問合せを頂いています。

デンタル国進は、完全個別&個室指導なので、プライバシーが厳守されます。また自習も個室で毎日行うことが出来ます(年中無休)。

なお定員には限りがあるため、充足次第締め切ります。

(愛知学院1年)春学期の重要科目である物理Ⅰ、Ⅱと化学Ⅰの簡単な振り返り分析~来年2月の再試対策のために~ 代表052-220-5446

愛知学院1年の方々からのお問合せが多いので、簡単に春学期のまとめを書いておきます。

1年時に、特に重要科目である物理Ⅰ、Ⅱと化学Ⅰについて絞って書いておきます。

この2教科は、特に対策のお問合せが多かったものです。

①物理Ⅰ、Ⅱ&化学Ⅰのまとめ

~物理学Ⅰ,Ⅱ~

・授業は、生徒の半分が対面、もう半分が遠隔にて同時に授業を受ける形式を一週間交替で行うハイブリッド形式でした。

・課題は、授業内にて課される問題や授業後に提出を求められるものがありました。

・平常点は、物理Ⅰ、Ⅱともに3割。

・定期試験は対面で行われ、授業内で解説した問題と初見の問題が混ざった普通の試験でした。

~化学Ⅰについて~

・物理学とは異なり、対面の週には授業が行われ、遠隔の週には事前に録画された動画にて授業を受講するといった形式が用いられました。

・課題は二週間に一度、授業後に幾つかの問題が課され、提出期限までの提出を求めるといった形でした。また、対面の週には小テストが行われ、これは課題と同様に平常点として加味された様です。

・平常点は、化学は5割。

・定期試験では、学習内容の中でも比較的簡単な問題が多くみられました。しかし、理解不足&勉強量が足りなかった為に単位を落としてしまった生徒さんたちもいます。

②昨年との比較考察

・昨年は春学期に定期試験が実施されなかったため、直接的に比較することは出来ませんが、今回の春学期の定期試験の難易度や構成を見る限り、昨年の秋学期の定期試験とさほど違いがないように感じられます。昨年の春学期はコロナ一年目で大学側に体制が整っていなかったため、やむなく定期試験は実施されなかったのでは、と思われます。今年からは、大学側に体制が整ったため、授業はハイブリッド型(コロナの状況によっては、オンラインのみ)→対面で試験という流れが出来ているので、大学に入学時の学力の差が、コロナ以前よりも問われるようになっているのでは、と感じられます。

・平常点については、物理が3割、化学が5割と設定されていたため、かなり重要であったと思われます。

・定期試験に関しては上に書いた通りです。

・来年度は、平常点の割合は変わる可能性ありうるでしょう。

③具体的な対策

・ハイブリッドで、オンライン授業&課題テストもあるため、まずは、ある程度自力で対処する基礎学力の確立が早急に必要でしょう。秋学期の授業も始まったら、今回上記2教科を落単してしまった方々は、秋学期の授業の対策をしながらも、同時に再試の対策をすることを求められるでしょう。再試は来年2月であるため、秋学期のうちにも対策を継続しておかないと、春学期の内容を忘れてしまうためです。

(歯学部のカリキュラム比較) 昔と今~全国的に前倒しカリキュラムに~

親御さんの世代と今の世代の歯学部のカリキュラムは大きく異なります。今では前倒しの傾向が全国的に見られます。

今の歯学部生は大変です。

2~30年前までは

1・2年基礎知識(生物、化学等)
3・4 歯科基礎(解剖、生理等)
5・6 歯科臨床 (保存、補綴等)
国試

だったのが、

今は

1・2 基礎知識、歯科基礎
3・4 歯科臨床
CBT.OSCE
5 病院実習、国試対策
6 国試対策、総合試験、模試
卒試
国試
のイメージでしょうか。

進学校の中高一貫校では、しばしば前倒しカリキュラムを実施していますが、あれの大学バージョンを目指す感じでしょうか。

この傾向は、私立だけに限らず、国公立でも見られます(もちろん私立ほどではないようですが。)

6年をまるまる国試対策にしたい意図が見えます。昔は6年かけていたものを、ほぼ4年に圧縮すれば、体感としては、1.5倍ではなく、3倍ぐらいの大変さがあるのではないでしょうか?

(愛知学院)来年から、独自の新しいカリキュラムが開始されます。入学年度のカリキュラムに縛られなくなります。

愛知学院は、来年度から、新しいカリキュラムがスタートします。

今年一年はそれを周知させる一年。

今までは、一人一人の生徒が、入学年度のカリキュラムに縛られてのシステムでした。

来年からは、入学年度のカリキュラムに縛られず、留年していても、していなくても、その時の最新のカリキュラムで、1~6年全員が動くシステムになります。

当然、進級した時に取れなかった科目などは、きちんと補強がありますので、心配ありません。留年した生徒も、逆に最新のカリキュラムに触れるほうが、国試でのハンディが減ると思われます。

さらに5、6年のために、臨床教育研究棟が建設されます(2023の8月には完成予定)。5、6年は、そこで今以上に、腰を落ち着けて学習することが出来るようになります。

全国的に見ても、今回の愛知学院の取り組みは画期的で、生徒&親が安心して、合格者を増やす上で、画期的な試みだと思われます。

やはり5年に進級したら、限りなく全員が進級出来て、無事に全員国試を受けれるほうが安心ですね。

(神奈川歯科2年)解剖学の対策について

デンタル国進には、現在神奈川歯科の生徒さんも数多く通塾されていますが、その指導の中から見えてきた特徴をまとめておきます。

2年でだいたい苦労する「解剖学」に絞ってみたいと思います。どのように対策をしたらいいのかを考えます。

(特徴)

神奈川⻭科⼤学2年の解剖学の特徴は、「浅く広く」ではないでしょうか。これは愛知学院⼤
学⻭学部のそれとは⼤きく異なります。

⼀つ⼀つの分野ごとに扱われる知識の深さに⼤きな差があります。

愛知学院⼤学の解剖学で問われる知識の知識量は、医学部並みに厳しいのですが、神奈川⻭科⼤学では、どちらかというと基礎レベルの知識が⼤多数を占めている印象を受けます。レジュメを⾒てみると、例えば泌尿器系の授業では、初めて解剖学を学ぶ生徒にも⼊りやすいように、「泌尿器系の総論」から始まり、腎臓、尿管、膀胱の基本的な性質、⼤きさや体内での位置、⾎管⾛⾏などの概略的な知識がまず紹介されています。

次にそれぞれの臓器についての各論的な知識で、より細かい知識、例えば腎臓のネフロンについての解剖とその機能などミクロレベルまでの解剖が、図を並べながら、時には学⽣にイラストを描かせながら載っている。

解剖学の勉強において、実際に⼿を動かして臓器のイラストを描くことは⾮常に有効で、当塾でも⽣徒と⼀緒にイラストを描き、そこに名前を書き込みな
がら授業を⾏なっています。名前だけでは掴みにくい臓器の具体的なイメージを植え付け、記憶としての定着を早めることが期待されます。

(対策)

上述のように、分野ごとにレジュメの質的な違いはあれど、神奈川歯科で総じて問われる解剖の知識レベルは、そこまで掘り下げたものではないという印象を受けます。時間的余裕のない方は、レジュメに載っている単語をひたすら丸暗記するのも⼿でしょう。逆に余裕のある方は、レジュメに登場した筋⾁や⾻格のイラストを、アトラス等を⾒ながら積極的に描いてみて、具体的なイメージを頭の中に染み込ませながら学習を進めていくことをお勧めします。実際レジュメに記載されている情報量は広く浅いものが多いので、⾃分で描いたイラストに、調べた知識を上乗せして書き込むことで、より幅広い知識が今度も問われていくと思われます。

(主に2年)解剖学の学習法について

金年、全国多くの歯学部においても、解剖学の難易度が上っていると感じられます。

学部本来の専門的分野である頭頚部・口腔系の解剖のみならず、全身にわたる幅広い解剖学的知識を要求する大学が増えています。

従って、解剖学の授業、実習内容も複雑になり、また試験対策も今まで以上に準備を要することとなっています。さらに悪いことに、このように難化した解剖学に直面するのは、入学したての1、2年なのです。しかも現在はコロナ下。。。

大学受験を終えたばかりの学生は、高校で培ってきた勉強法をそのままこうした医療系の学問に持ち込もうとする傾向がありますが、なかなかうまく行かないようです。それは当たり前のことで、根本的に勉強法が異なる(正確に言うと‘‘効率的’‘な勉強方法が異なる)ためです 当然レジュメの情報量も多くなり、どこから学習したらいいのか、多くの生徒が困っているようです。

当予備校では、学習方が困難な解剖学の現実的な学習法を指導しています。いかに限られた時間で、必要な知識を理解して、記憶するかを主眼としています。

part38 第114回歯科医師国家試験 必修 C-5 正答率86.4%

114C-5 (必修) 正答率86.4%
フェニックス膿瘍に転化するのはどれか。1つ選べ。
a 歯髄壊疽
b 急性単純性根尖性歯周炎
c 急性化膿性根尖性歯周炎
d 慢性単純性根尖性歯周炎
e 慢性化膿性根尖性歯周炎

【フェニックス膿瘍と根尖性歯周炎】 『歯内治療学(医歯薬出版)』第7章 6.根尖性歯周組織疾患の臨床病理と臨床症状 参照

臨床では自覚症状のない患歯の根管治療の直後に、急性炎症の症状が発現することがあります。

細菌感染などの外来病原的刺激と、生体の抵抗性が平衡状態にある慢性炎症が、治療中の刺激等により激しい急性炎症に転化することがあり、この状態を不死鳥に例えてフェニックス膿瘍と呼ばれます。

歯内治療において、フェニックス膿瘍とは、慢性化膿性根尖性歯周炎に罹患した歯の根管処置を行った直後に生じる急性化膿性炎の症状を言います。

根管治療時に根管内の汚染された内容物を拡大・形成の機械的操作によって根尖孔外に誤って押し出した結果、根尖歯周組織に組織抵抗性を越える病原物質が送り込まれて均衡が崩れ、慢性炎症が急性炎症に転化します。

慢性化膿性根尖性歯周炎を有する歯の歯内処置を行って発症することが多く、治療する根管の内容物の病原性を十分に注意して処置を行う必要があります。

114C-5 (必修) 解答
フェニックス膿瘍に転化するのはどれか。1つ選べ。
a 歯髄壊疽
b 急性単純性根尖性歯周炎
c 急性化膿性根尖性歯周炎
d 慢性単純性根尖性歯周炎
e 慢性化膿性根尖性歯周炎

解答 e

(松本歯科大学1~3年) 前期の再試は本年度も10、11月に実施予定。前期試験のすぐ後なので、生徒にしたら、本当に助かりますね。~デンタル国進 オンラインにて個別指導の受講可能~ 代表 052-220-5446  

松本歯科大学の前期試験は、今年は8月20(金)~9月3日(金)まで予定されています。多くの二期制の大学は、前期試験の再試は、翌年2月に実施されるところが多い印象ですが、松本歯科の場合は、前期の再試は10、11月に実施が予定されています。これなら、後期の学習と重なりますが、翌年2月に実施されるより、前期本試のすぐ後なので、落としすぎなければ、十分対応出来そうですね。

また、毎週実施されるWeekly Testという確認試験も、コンパクトにまとまっており、学習しやすいものです。試験はこれから、主に中心に出題されています。

松本歯科の生徒さん、前期の本試頑張りましょう!

デンタル国進では、対面&オンラインどちらの個別指導も受講可能です。お問合せはお電話にて(代表052-220-5446)

part37 第114回歯科国験 臨床問題(歯内) C-45 正答率が低めだった臨床問題 正答率61.2%

114C-45 正答率61.2%
※画像はこちらをご覧ください。

114C-45 正答率61.2%
80 歳の男性。上顎左側第一大臼歯の痛みを主訴として来院した。2週前から冷水痛があり、昨日から拍動性の自発痛を自覚しているという。打診痛を認める。診断をした結果、抜髄処置を行うこととした。初診時のエックス線画像と処置中のある操作時のマイクロスコープ写真を示す。

続いて行う操作で留意するのはどれか。2つ選べ。

a 歯髄の感染
b 髄床底の損傷
c 歯髄結石の残存
d 髄角部歯髄の残存
e 歯冠部感染歯質の残存

【高齢患者の歯内治療における留意点】

患者が高齢の場合、一般的に歯髄腔が狭窄、歯質の靭性が低下しており根管治療がしにくくなります。

高齢者の根管治療をする場合の注意点と問題の画像からどのようなリスクがあるか、知識と診査の力が必要となる問題です。

114C-45 正答率61.2% 解答
80 歳の男性。上顎左側第一大臼歯の痛みを主訴として来院した。2週前から冷水痛があり、昨日から拍動性の自発痛を自覚しているという。打診痛を認める。診断をした結果、抜髄処置を行うこととした。初診時のエックス線画像と処置中のある操作時のマイクロスコープ写真を示す。

続いて行う操作で留意するのはどれか。2つ選べ。

a 歯髄の感染 この後、抜髄処置を行うため操作中の歯髄感染を留意する必要はない。
b 髄床底の損傷 〇デンタル、マイクロ写真から天蓋と髄床底が近接していることがあり、根管口の探索中に誤って損傷しないよう留意しなくてはならない。
c 歯髄結石の残存 デンタル、マイクロ写真から認められない。
d 髄角部歯髄の残存 〇デンタルから歯髄腔が狭窄しており、髄角が突出しているのがわかる。これを残すと感染源となるため除去しなければならない。
歯冠部感染歯質の残存 マイクロ写真から認められない。

解答 b,d