part37 第114回歯科国験 臨床問題(歯内) C-45 正答率が低めだった臨床問題 正答率61.2%

114C-45 正答率61.2%
※画像はこちらをご覧ください。

114C-45 正答率61.2%
80 歳の男性。上顎左側第一大臼歯の痛みを主訴として来院した。2週前から冷水痛があり、昨日から拍動性の自発痛を自覚しているという。打診痛を認める。診断をした結果、抜髄処置を行うこととした。初診時のエックス線画像と処置中のある操作時のマイクロスコープ写真を示す。

続いて行う操作で留意するのはどれか。2つ選べ。

a 歯髄の感染
b 髄床底の損傷
c 歯髄結石の残存
d 髄角部歯髄の残存
e 歯冠部感染歯質の残存

【高齢患者の歯内治療における留意点】

患者が高齢の場合、一般的に歯髄腔が狭窄、歯質の靭性が低下しており根管治療がしにくくなります。

高齢者の根管治療をする場合の注意点と問題の画像からどのようなリスクがあるか、知識と診査の力が必要となる問題です。

114C-45 正答率61.2% 解答
80 歳の男性。上顎左側第一大臼歯の痛みを主訴として来院した。2週前から冷水痛があり、昨日から拍動性の自発痛を自覚しているという。打診痛を認める。診断をした結果、抜髄処置を行うこととした。初診時のエックス線画像と処置中のある操作時のマイクロスコープ写真を示す。

続いて行う操作で留意するのはどれか。2つ選べ。

a 歯髄の感染 この後、抜髄処置を行うため操作中の歯髄感染を留意する必要はない。
b 髄床底の損傷 〇デンタル、マイクロ写真から天蓋と髄床底が近接していることがあり、根管口の探索中に誤って損傷しないよう留意しなくてはならない。
c 歯髄結石の残存 デンタル、マイクロ写真から認められない。
d 髄角部歯髄の残存 〇デンタルから歯髄腔が狭窄しており、髄角が突出しているのがわかる。これを残すと感染源となるため除去しなければならない。
歯冠部感染歯質の残存 マイクロ写真から認められない。

解答 b,d

part36 第114回歯科国験 問題(歯内) B-84 正答率が低めだった問題 正答率63.9%

114B-84 正答率63.9%
麻酔抜髄において即時根管充塡法によって低減できるリスクはどれか。
2つ選べ。

a 残 髄
b 根管の汚染
c レッジ形成
d 根管充塡材の溢出
e 根管充塡時の疼痛

【即時根管充填法の利点と欠点】

実際の臨床で即時根管充填する機会は限られていると思います。
(それは欠点のためと思われます。)
ですが、即時根管充填法の利点と欠点を理解することは、
数回に分けて根管治療をすることの利点を知る上で、重要になります。

〇即時根管充填法の特徴
<利点>
・治療の回数や期間を短縮できる。
・根管の感染の機会が減少する。

<欠点>
・残髄の確認ができない(残髄の可能性)。
・術後疼痛が生じやすい(残髄炎等による)。
・根管から出血が持続するような症例では適用できない。

114B-84 正答率63.9% 解答
麻酔抜髄において即時根管充塡法によって低減できるリスクはどれか。
2つ選べ。

a 残 髄 即時根管充塡法を行うと残髄の確認を行う機会がなくなり、リスクは増える。
b 根管の汚染 〇根管治療の回数が少なくなり、汚染のリスクは減る。
c レッジ形成 湾曲根管の不適切な根管拡大操作によって根尖付近に形成され、根充時期とは関係ない。
d 根管充塡材の溢出 根尖孔の破壊によって生じやすくなり、根充時期とは関係ない。
e 根管充塡時の疼痛 〇即時根管充塡は当日の麻酔抜髄後に行うため根管充塡時の疼痛のリスクは減る。


解答: b,e
 

part35 第114回歯科国験 臨床問題(歯内) D-58 正答率が低かった臨床問題 正答率58.8%

114D-58(歯内) 正答率58.8%
※問題の画像はこちらをご覧ください。

114D-58(歯内) 正答率58.8%
75 歳の男性。上顎右側第二大臼歯の抜髄治療中のマイクロスコープ写真示す。
次に行うのはどれか。1つ選べ。

a う齲除去
b 根管拡大
c 髄室開拡
d 根管口明示
e 根管長測定

【抜髄治療の流れについて】
この問題は正答率58.8%とA typeの問題にしては低くなっています。
抜髄治療の流れは
う蝕除去(a)→髄室開拡(c)→根管口明示(d)→根管長測定(e)→根管拡大(b)
というのは皆さん覚えていると思います。
この問題では現在がどこにあたるかを問うています。

114D-58(歯内) 正答率58.8% 解答
75 歳の男性。上顎右側第二大臼歯抜髄治療中のマイクロスコープ写真示す。
次に行うのはどれか。1つ選べ。

a う齲除去 着色した感染歯質は確認できず、すでに除去されていると考えられる。
b 根管拡大 まだ、すべての根管にアプローチできる状態になっていない。
c 髄室開拡 〇 天蓋の一部が残存しており、髄室開拡をする必要があると考えられる。
d 根管口明示 1根管のみしか探索できておらず、他の根管口を探索するためには
        c髄室開拡が必要と考えられる。
e 根管長測定 まだ、すべての根管にアプローチできる状態になっていない。

解答: c

part34 第114回歯科国験 臨床問題(歯内) B-80 正答率80.1%

114B-80(歯内) 正答率80.1%(2)
※画像はこちらをご覧ください。

114B-80(歯内) 正答率80.1%
55歳の女性。上顎両側中切歯の咬合痛を主訴として来院した。昨夜転倒し、同部を強打したという。打診痛は軽度で、動揺は生理的範囲であった。プロービング 深さは全周3mm 以下で、歯髄電気診に生活反応を示さなかった。初診時の口腔内写真とエックス線画像を示す。(口腔内写真、エックス線画像より露髄や破折などの所見なし)

適切な対応はどれか。 1つ選べ。
a 経過観察
b 暫間固定
c 抜 髄
d 感染根管治療
e 抜 歯

【外傷後の歯髄の生活反応について】

外傷歯において特に重要になってくるのが診断です。
それは診断によってその後の処置が大きく変わってくるからです。
受傷直後の歯髄は一時的に生活反応が示さなくなることがあります。よって十分な経過観察が必要になります。
今回の症例は55歳の女性で上顎両側中切歯の症例ですが、外傷歯の問題では
以下の項目に気をつけてみてください。

〇外傷歯の症例で気をつけるべき項目
・乳歯か永久歯か ・歯根未完成歯かどうか ・年齢 ・自発痛、打診、動揺なのどの有無
・露髄の有無 ・デンタル画像から破折の有無 ・外傷後の経過日数 など…。

念頭に入れていただきたいのが垂直破折など保存不可のものは基本的に抜歯
また、破折等はないものの露髄、自発痛があり、明らかな感染が疑われるのは根管治療が必要になるということです。
逆にそれらの症状がなければできるだけ保存的治療が望まれるということです。
 (交換時期の乳歯などは例外です)

そのことを頭に入れた上で問題を解いていきましょう。

114B-80(歯内) 正答率80.1% 解答
55歳の女性。上顎両側中切歯の咬合痛を主訴として来院した。昨夜転倒し、同部を強打したという。打診痛は軽度で、動揺は生理的範囲であった。プロービング深さは全周3mm 以下で、歯髄電気診に生活反応を示さなかった。初診時の口腔内写真とエックス線画像を示す。(口腔内写真、エックス線画像より露髄や破折などの所見なし)

適切な対応はどれか。 1つ選べ。

a 経過観察〇 受傷したのは昨夜であり、自発痛、露髄はなく、破折等の所見がない。
また、歯髄電気診に反応がないものの、一過性で回復の可能性があるため、まず経過観察。
b 暫間固定 動揺は生理的範囲のため固定の必要なし。
c 抜 髄 自発痛、露髄はなく、破折等の所見がないため根管治療の必要なし。
d 感染根管治療 ※数週間たっても歯髄の生活反応が戻らない場合に行う。
e 抜 歯 抜歯の適応となるような破折等の所見は認められないため行わない。

解答: a

part33 第114回歯科国験 臨床問題(歯内) A-53 正答率が低かった臨床問題 正答率23.6%

114A-53 正答率23.6%
※画像はこちらあります。

114A-53 正答率23.6%
上顎左側第二小臼歯の感染根管治療時に行ったある処置前後のマイクロスコープ写真を
別に示す。この処置の目的はどれか。1つ選べ。(処置の前後でイスムスが除去されている)。
a 感染歯質の除去
b 根管穿孔の防止
c 歯根破折の防止
d 根管洗浄効果の向上
e 根管拡大器具の破折防止

【歯の解剖学的知識と治療操作の臨床的意義の理解】

この問題は正答率23.6%と大変低い問題ですが、良い問題だと思いました。
日頃、国試に向けて頑張っている皆さんだからこそ、陥りやすい傾向として

「こういう場合もあるから、この選択枝は間違っていない!」と、思うことが多々あると思います。
ただ、落ち着いて考えてほしいのが「最も適しているのはどれか」「この問題の出題者の意図は何か」ということです。

長い試験時間後半になればなるほど、見たことがある選択枝、見慣れている選択枝に飛び付きやすくなります。そういう時こそ落ち着いて解いてみてください。

〇イスムス
イスムスとは、根管と根管をつないでいる狭小部のことです。その形態から細菌や壊死歯髄などが残存しやすいです。

114A-53 正答率23.6% 解答
上顎左側第二小臼歯の感染根管治療時に行ったある処置前後のマイクロスコープ写真を
別に示す。この処置の目的はどれか。1つ選べ。

a 感染歯質の除去 〇
イスムスが除去されており、イスムスはその形態から細菌や壊死歯髄などが残存しやすいため、今回の処置の主目的と言える。

b 根管穿孔の防止
根管穿孔の防止は根管口のフレアー形成やストレートラインアクセスで器具操作を容易にすることにより可能となる。

c 歯根破折の防止
歯根破折の防止の観点から言えばできるだけ歯質は切削しないほうが良い。

d 根管洗浄効果の向上 △
イスムスを除去することによって結果的に根管洗浄しやすくなるとも考えられるが、
イスムスが、根管と根管をつないでいる狭小部のことでありその形態から細菌や壊死歯髄などが残存しやすいことを考えると、機械的に除去することが優先され、aの選択枝の方が適していると考えられる。

e 根管拡大器具の破折防止
根管拡大器具の破折防止は根管口のフレアー形成やストレートラインアクセスで器具操作を容易にすることにより可能となる。

解答: a

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前期試験が8月20日(金)から始まり、9月3日(金)に終了します。

9日間の間に、集中するため、数日前では、なかなか対策が難しいのが現実です。

ですから、この8月を活用して、十分な準備をしておくのが得策と思われます。

1~3年とも、基本的に試験は、一日1教科のペースで、毎日実施されます。

特に2年は、解剖学Ⅱ→分子生物学→生理学→生化学と休むなく試験があり、よっぽどちゃんと準備しておかないと厳しいでしょう。

当予備校では、現在個別対策を実施しています。対面&オンラインどちらでも可能です。プロ講師の指導のもと、きちんと準備をしておきましょう。

問い合わせは、代表名古屋校へ。名古屋校が全国の校舎の統括をしています。

「近年の国家試験の傾向から見る、模試(CBTも含む)で取るべき点数とその対策」 ~「模試でその後の試験の結果がまる分かり!? 模試でどのくらい点数を取れば良いの?」~お問合せ 代表 名古屋 052-220-5446

以下は、基本的にデータに基づいてご説明致しますが、目標設定に関しましては一部
主観が入ることをご了承ください。

現在、歯科医師の国家試験が大変難しくなっていることは、マスコミ等の報道により周知となっていますが、データを元にしっかりと、傾向と対策を練る必要があります。

・第114回歯科医師国家試験の合格発表について(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/general/sikaku/successlist/2021/siken02/about.html

出願者数 受験者数 合格者数 合格率
新卒者 2,615人 2,103人 1,687人 80.2%
全 体 3,852人 3,284人 2,123人 64.6%

・2021年 歯科医師国家試験結果|旺文社教育情報センター
http://eic.obunsha.co.jp/eic/pdf/kokushi/2021/0414_1.pdf
第114回 歯科医師国家試験の結果がこのほど厚生労働省より発表された。受験者3,284人、合格者2,123人、合格率は64.6%だった。合格率は前年に比べて、全体では1.0ポイントダウン。新卒が0.9ポイントアップした一方で、既卒は6.2ポイントダウンした。
■歯科医師国家試験 過去10年間の推移[新卒・既卒合計]


学生さんからよく、
「学年で半分以内の順位だったら安心ですか?」
「6年生なんですけど、模試で2000位以内だったら大丈夫ですか?」
という話を聞くのですが、

まず、順を追って説明させてください。
114回の国家試験では全体3,284人が受験し、2,123人が合格しています。

単純な計算で2,123(合格者)÷3,284(受験生)×100で合格率64.6(%)となりますが、
よく表を見てください。
全体の出願者は3,852人となっています。この差は大学の意向で、国試に出願するも、その後の卒業試験等で不合格になってしまい、受験できなかった受験生がいることを意味します。

その上で先程の計算をしてみましょう。
2,123(合格者)÷3,852(出願者)×100で55.1%となります。
しかも6年生まで厳しい進級試験、CBTをクリアしてきた人達でこの結果です。

なので、先ほどの
「学年で半分以内の順位だったら安心ですか?」
「6年生なんですけど、模試で2000位以内だったら大丈夫ですか?」

は、両方とも否です!

「学年で半分以内の順位だったら安心ですか?」
→「常に1/3以内の順位にいるように心がけてください。(しかも単発的な暗記の仕方ではダメです。)」

「6年生なんですけど、模試で2000位以内だったら大丈夫ですか?」
→「常に順位3ケタ(1000番以内)を心がけてください。(それに加えて必修問題は死角を作ってはいけません。」

〇模試で取るべき目標まとめ

第114回歯科医師国家試験の合格発表について(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/general/sikaku/successlist/2021/siken02/about.html
第114回歯科医師国家試験の合格基準は、
一般問題(必修問題を含む)を1問1点、臨床実地問題を1問3点とし、
 (1) 領域A(総     論)53点以上/100点 (53%)
 (2) 領域B(各論Ⅰ~Ⅱ) 107点以上/167点 (64%)
 (3) 領域C(各論Ⅲ~Ⅴ) 129点以上/206点 (62%)
 (4) 必修問題 63点以上/ 78点 (80%)
    但し、必修問題の一部を採点から除外された受験者にあっては、
    必修問題の得点について総点数の80%以上とする。

今年は全体的に難しく、平均点が低めですが、年によってはB領域が70%を超えてくることがあります。
また、必修に関しては80%を取らなくていけないため、スキのない勉強をしていかなければなりません。
〇第三回模試(最終模試)
・A,B,C全ての領域で80%以上。
・必修に関しては90%以上、最低でも85%以上。
・全国順位3ケタ(1000番以内)。
〇第一回模試
・A,B,C全ての領域で70%以上。
・必修に関しては85%以上。
・全国順位1300番以内。
〇CBT模試
・全範囲で正答率80%以上。
・各大学で定められているボーダーより模試で正答率が10%以上低いと
 だいぶ厳しくなってしまいます。

~最後に~
模試で頑張って、本番まで一年程度で上がる点数はせいぜい10%と考えてよいと思います。やはり低学年から、蓄積を作っておかないと、いきなりは厳しいですね。低学年からきちんと蓄積を作ってきた人とそうでない人の差が国家試験&CBTの結果となるのでしょう。