(part8) 第114回歯科医師国家試験 削除問題 解説(必修 B-10)

第114回歯科医師国家試験の個人的にピックアップしておきたい問題をシリーズもので定期的に更新していこうと思います。

本日紹介する問題はB-10です。

こちらは、必修問題として妥当ではなく、正解者には加点、不正解者は削除となった問題の1つです。

解糖系が働く部位はどれか。1つ選べ。

a.ゴルジ装置

b.細胞質基質

c.粗面小胞体

d.リソソーム

e.ミトコンドリア

この問題みてウッと思った人。。。私もそうです。

高校生物かなんかだと、思ってしまいますよね。

とりあえず、知識の整理をしてみましょう。

解糖系ということは、糖分を分解してエネルギーを作り出すものか。

それに近いものを探してみよう。

a.ゴルジ装置

→タンパク質に糖とかをつけるもの。

ついたものは糖タンパク質とよばれ、ムチンとかが代表的。

ここでムチンについてまとめると、

・口腔細菌のノイラミニダーゼによって分解すると歯の表面につき、保護として役立つもの。

・赤血球の100倍も優秀なので血液型がわかる。

・細菌を集め、細菌の侵入に対してのバリアともなる。ことも押さえておこう!

b.細胞質基質

→俗に言うクエン酸回路(TCA回路)のイメージ。

☆☆身近なものや経験で例える☆☆とするなら、運動始めて最初の20分くらいは糖分を分解する時間っていうそれでしょう。

この時間は糖分が分解されると普段運動している人なら選べると思います。

c.粗面小胞体

→何個か前のコラーゲンの記事も参考に。

d.リソソーム

→lysosome

lysisが分解でsomeが何かって意味なので

何かを分解するものであり、エネルギーを作り出すようなイメージはないですね。

関連するものとして、

大隅良典によるオートファジーはノーベル賞を受賞したもので、今年の114 c-13にも歯科麻酔の歴史について問われていたこともあるので、歯科医学史は近年出てなかったたものの、各教科で有名な人物はまとめておきましょう!

e.ミトコンドリア

→細胞の中に一緒に生きることになってしまった細胞くんです。

こいつが肝で、我々は運動を20分ほど最初にしはじめて初めてこいつが頑張って、

β酸化という反応を起こすのでこれによって脂肪が分解され始めるわけです。

ちなみに、フルマラソン3回走って1キロ痩せられるみたいです。

歯科医師として栄養指導も行うことが推奨されているので、食事栄養バランスガイドや推奨量や目安量といったものも衛生では重要な内容なので整理しておきましょう。

あとはそうですね。

実際に類題をつくって問題を一回だけでなく、2度、3度食べても美味しいスルメにするのもいいでしょう。

この問題ならば、

β酸化に関与するものはどれか。

a.ゴルジ装置

b.細胞質基質

c.粗面小胞体

d.リソソーム

e.ミトコンドリア

と言う風に書き換えてみても面白いかと思われます。

卒業試験をこうやって作っている大学もあるみたいです。。

自分で問題を作ってみると、理解も深まるし、おすすめです。

☆☆☆今日のまとめ☆☆☆

1.身近なものや経験で例える

2.自分で問題を作ってみると、理解も深まる

以上のポイントを参考に有意義な受験生活をお過ごしくださいね。

また、実際に問題を解きながら他にはどんな疾患が考えられるのか生徒と先生が話し合いながら一つの問題からたくさんのパフォーマンスを引き出し、歯科医師国家試験という連想ゲームを楽しみながら受験生活を送ることが出来るかと思います。

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(part.7) 第114回歯科医師国家試験 正答率が低かった問題 解説(必修 A-19)

第114回歯科医師国家試験の個人的にピックアップしておきたい問題をシリーズもので定期的に解説しています。

本日紹介する問題は114A-19です。

こちらは、正答率が50%付近であった問題で、

実質合否を分けるボーダーの問題でしょう。

骨格性下顎前突にみられる特徴はどれか。

1つ選べ。

a.下顎臼歯の舌側傾斜

b.下顎切歯の唇側傾斜

c.上顎臼歯の舌側傾斜

d.上顎切歯の舌側傾斜

e.下顎歯槽基底弓幅径の狭小

必修の問題の解き方としては、

あからさまに浮いた選択肢に飛びつかない力も大事です。

ここではeが浮いているように見えるので、避けて問題を解いてみることです。

また、残りの選択肢についてですが、

過去の問題からデンタルコンペンセーションというワードを皆さんも聞いたことはないでしょうか。

下顎が前に出ているので、むりやり下唇で閉じようとするあまり、下顎切歯が舌側傾斜、

ベロにおされて上顎前歯が唇側傾斜するアレです。

これを知っていると、bとd?かな?と飛びついてしまいそうですが、書いてるものが真反対と困りました。どうしましょう。

残るはaとcですが、

もしカンで答えるのであれば、

下顎前歯だけでなく、下顎歯列全体として舌側傾斜となっているのではないか?

上顎前歯だけでなく、上顎歯列全体として頬側傾斜となっているのではないか?

と現場思考できるとしめたものです。

自然と答えのaが本番で選べるわけです。

このように、見たことがある問題、既存の知識から類推していく力を養っていくことも国試に受かるには必要な考え方といえるでしょう。

また、似た問題として、

112B-82が正面頭部X線規格写真として登場していますので、確認として解いてみてくださいね。

あとは、他の分野とまたがる知識と横断してみましょう。

みなさん、部分床の模型実習をした経験はありませんか。

その際、エーカースクラスプを下顎臼歯にかける際、クラスプ鉤尖を舌側に入れませんか?

その経験を現場で思い出すだけでもかなり選択肢を絞り切ることができると思います。

また、歯の萌出経路をイメージしてみても解ききれます。

上顎は遠心にむかってから近心に萌出する傾向であり、頬側に向かって生えます。

下顎は近心にむかって萌出し、舌側に向かって生えます。

これをイメージしてみてもアプローチとしては正解でしょう。

☆☆☆まとめ☆☆☆

1. みたことある問題、既存の知識から類推していく力を養っていくこと。

2.他の分野とまたがる知識や、臨床実習や模型実習をイメージして問題を解いてみるコト!

以上のポイントを参考に有意義な受験生活をお過ごしくださいね。

また、実際に問題を解きながら他にはどんな疾患が考えられるのか生徒と先生が話し合いながら一つの問題からたくさんのパフォーマンスを引き出し、歯科医師国家試験という連想ゲームを楽しみながら受験生活を送ることが出来るかと思います。

(part.6) 第114回歯科医師国家試験 削除問題 解説(A-5)

第114回歯科医師国家試験の個人的にピックアップしておきたい問題をシリーズもので定期的に掲載しています。

必修問題として、妥当ではなく、設問が不明瞭で、正解が得られないために削除となった問題です。

本日紹介する問題はA-5です。

こちらは、必修問題として妥当ではなく、正解者には加点、不正解者は削除となった問題の1つです。

コラーゲンの3本鎖らせん構造を安定させるのはどれか。1つ選べ。

a.リシン

b.アラニン

c.グリシン

d.プロリン

e.グルタミン

まず、コラーゲンとはなんぞや?

Gly-○-□の繰り返しのもので、

コラーゲンやエラスチン、プロテオグリカン、ラミニン、フィブロネクチンといった細胞外マトリックス(ECM)の1つのことです。

一般的に、コラーゲンは3本がらせんことように集まってできた

コラーゲン領域と、非コラーゲン領域の2つがあり、コラーゲン領域では、繰り返し部分のGly-があって3本がらせんのように集まって安定化すふのに重要です。

このらせんのことを英語で螺旋といい、このことから螺旋状であることがわかります。

おもえば、矯正のクアドヘリックスとかも、

クアド(4つ)、ヘリックス(螺旋)という点からもどんな装置か類推できますね。

歯科の単語はひたすら英語をそのままカタカナ表記したものが多いです。チェックバイトといい、、

困った知らないカタカナ単語をみたら分けて区切って日本語に直してみると類推できることがあるので一言アドバイスとしてここに書いておきます。

脱線してしまいましたが、

コラーゲンの合成の仕方について確認していきましょう。

①ポリソーム(=粗面小胞体、リボソーム)で

さきほどのGly-○-□という

プレプロα鎖というものができます。

②小胞体の中でN末端側で切られたのち、

コラーゲンの分子の中のプロリンとリシンが

水酸化をうけます。

水酸化(-OH)がついた状態をヒドロキシ〜と呼びます。

この時、水酸化反応には補因子(コファクター)としてビタミンC(アスコルビン酸)とFe^2+が必要になります。

③ガラクトシルトランスフェラーゼ、

グルコシルトランスフェラーゼを受けて糖がつきます。

④ここまでうけた1本のコラーゲンが3つ合わさって3本鎖ヘリックス構造をつくります。

⑤3本鎖の末端に余計なもの(プロペプチド)がついてるので、プロテアーゼで切ってやります。

(protein ase→タンパク 分解するものと類推できるのは何個か前の英語の類推記事を見てみてくださいね。)

⑥コラーゲンの中のリシンが

リシルオキシダーゼ(リシン、酸化の反応?)を

うけてアリシンとなり、

アリシンが架橋構造の足場となっていく。

ここまで踏まえた上で、もう一度選択肢を見てみましょう。

a.リシン

→途中で反応をうけるものだったな、、

b.アラニン

→今までの話に出てなかったな。

c.グリシン

→Gly-○-□-の構造を作る上で1番大事そうだ。。

d.プロリン

→リシンと同じく途中で反応をうけるものだったな、、

e.グルタミン

→今までの話に出てなかったな。

☆☆選択肢のなかの優先順位をつけてやる☆☆と、

グリシン>>リシン、プロリンだとわかります。

確かにリシンとプロリンも考えられますが、

☆☆この出題者が解答にしたいものを

選ぶ力が大事☆☆ですので、

グリシンが正解になるわけです。 

また、最後に余談ですが、もう一つ皆さんにお伝えしたい事として

基礎分野と臨床分野の知識の横断です。

コラーゲンといえば、心臓や骨、角膜、、いろんなところに使われている建物の柱みたいなものです。

その柱がダメになってしまえば、当然建物自体ダメになってしまいます。

個人的に、歯科国試でみかける疾患はコラーゲンがダメになって発症する病気が多いように思えます。

最後にそこを確認してこのpart.6を終えたいと思います。

例として、骨をあげましょう。

骨とか象牙質とかセメント質って硬いけど意外にも1型コラーゲンが多いんですよね。

コラーゲンで足場を作ってから石灰化してできる感じです。ざっくりいいますと。

その足場となるコラーゲンが例えばもし、Gly-○-□のGly同士が近づいて安定すればいいのにGlyの代わりに変なArgとか Gluとか変なのが入ってしまったりしたら安定しないし、分解を受けて壊れてしまいます。当然そうなると、できるはずの骨もぼろぼろなのであんまりよくないわけです。

このコラーゲンが1型だったら骨形成不全症。。となるわけです。

コラーゲンがだめなひとだったら「他にもコラーゲンでできてそうなとこだめだよな。。。」と気づけた人はいいカンをしています。

目であれば屈折率が変わってしまい、青くみえる。

ですから、青色に目が見えてしまう。

心臓などもだめそうなので選択肢に例えばもし、

大動脈弁や僧帽弁の異常などがあったら正解になり得そうだな、と考えられるわけです。

余談ですが、骨折しやすそうなこの病気であればビスフォスフォネート製剤を使っていないか?

とか、

歯科治療する上では、骨折しやすいから抑制具とかは避けたほうがいいな、、、とか、

象牙質とかも脆いし、歯もチッピングしやすそうだったら破折や咬耗を守る意味で即重でレジンのスプリントを作って咬合管理をするのも患者さんにとっては幸せなのかな……といったように考えられるといいですね。

☆☆☆基礎分野と臨床分野の知識の横断☆☆☆をしてみるのもかなり勉強になると思います。

生化学単発でおわる知識で暗記するのはものすごくつまらないですし、役に立たないかもしれません。

せっかくですので臨床と関連して基礎分野をもう一度復習してみてはどうでしょうか。

☆☆☆本日のまとめ☆☆☆

1.ただしそうな選択肢の中で最も出題者が大事だと考えているものはどれか?

それを選ぶこと。

2.カタカナや英語から類推すること。

3.基礎分野と臨床分野の知識の横断!!!

以上のポイントを参考に有意義な受験生活をお過ごしくださいね。

実際に問題を解きながら他にはどんな疾患が考えられるのか生徒と先生が話し合いながら一つの問題からたくさんのパフォーマンスを引き出し、歯科医師国家試験という連想ゲームを楽しみながら受験生活を送ることが出来るかと思います。