part10 第114回 歯科医師国家試験 削除問題 解説 (必修 C-14)

第114回歯科医師国家試験の個人的にピックアップしておきたい問題をシリーズものを、定期的に掲載しています。

本日紹介する問題はC-14です。

こちらは、問題として適切であるが、必修問題としては妥当でないため、正解した受験者については採点対象に含め、不正解の受験者については採点対象から除外された問題です。

C-14

放射線検査において診断参考レベルを設定する目的はどれか。1つ選べ。

a 検査の正当化

b 見読性の確保

c 防護の最適化

d 線量限度の適用

e 医療情報の標準化

まずは例の三原則と診断参考レベルについて確認していきましょう。

三原則

1.行為の正当化

放射線をあてるリスクに対して

利益(ベネフィット)が上回るのであれば

当ててもよいというアレです。

2.防護の最適化

できるだけ被曝を少なくするよう努力する、、

というものです。

As Low As Reasonably Achievable

頭文字をとってALARAの法則と称されたりします。

今回のこの防護の最適化を進めるために使われるものが今回問われた診断参考レベルというものです。。

3.線量限度

そういう職業についている人と一般公衆の人とで被曝の限度は違うというものです。

ただ、医療被曝に関しては当然、病気が治るまで放射線をあてるわけなので限度はありません。

ここの値に対しても覚えておきましょうね。

(だいたい公衆被曝に10かけたら職業被曝の値になります。眼とか皮膚…ですね!!)

この中で防護の最適化について注目していきます。

この診断参考レベル。2020年に日本の診断参考レベル(2020)として新しくできたものです。

この中で注目すべきは診断参考レベル(DRL)の

目的です。

「目的は最適化」であって、線量低減ではないのです。

また、検査の正当化があったとしても

必要な診断情報がなければ無駄な被曝のなるのでだめです。

撮影条件を変更した際は画質や診断能が担保されていることを確認することも大事です。

2015のものと比べて、

☆口内法のほかにパノラマ、CBCTのDRLが設定された点、核医学検査においても腫瘍ブドウ糖代謝、炎症の各検査の項目に☆体重当たりの投与量が追加された点も点も大事です。

また、DRLの値は調査結果から母集団のグラフの☆75パーセンタイル値を求めて設定している事も大事なポイントです。

これに関しては、114 A-33 で図として

出題されているので注目していきましょう。

ここまで踏まえた上でもう一度みてみます。

a 検査の正当化

→リスクとベネフィットのお話。

b 見読性の確保

→電子カルテの3つのやつの1つ。

印刷して目で確認できるか、というもの。

ほかに偽造してないかといった真正性、

復元可能な状態で保存する保存性があります。

c 防護の最適化

→これが正解です。

d 線量限度の適用

→上記の職業被曝と公衆被曝のお話。

e 医療情報の標準化

→医用画像情報を標準化したものであるDICOMや

医用文字情報を標準化したものであるHL7といったものです。

ちなみにこの情報がもし分からなかった場合、

どう解くか??

診断参考レベル

→診断の参考になる程度の放射線?

と読み下して、推測してみるのです。

選択肢も漢文を日本語みたいに読み下して

みるともしかしたらわかることがあるのかも、、、

ですよ?!

そして、1つ選ぶということは

5つのうち、1つだけが異質な感じがする。。

ということになります。

なので、よく見てみてください。

この場合は放射線というものをざっくり

放射線をする側、される側として

☆☆二項対立の概念を導入して選択肢を

検証していきましょう。

診断の参考になる程度の放射線をどうでしょう?

この五つの語句を分けるとするなら。

「僕ならば、放射線はする側される側なのかな」

と思って選択肢をグループ化してみます。

それでうまく4つと1つに組み合わせが決まるのであれば、そのグループの分け方は今回の問題に関しては正解です。

中身があってなくても合います。

もし2つと3つにわかれてしまった、などなら

そのグループの分け方、二項対立的な考えは

間違えてると考えて、試験場ではその考えを

捨てて、再度解答に合うように選択肢の選び方を考えていきます。。。

こういったしらみつぶしのような数学的な考えは

非常に大事です。

今回は放射線を当てる側、当てない側で

選択肢を分けてみます?

a 検査の正当化

→ これっぽいけど、☆医療従事者の目線な感じがする。。。当てる側ですね。

b 見読性の確保

→まず、画像としてできてないし

放射線は目では見えない。

それに患者さんの立場というよりもは☆医療従事者の目線な感じがする。

当てる側ですね。

c 防護の最適化

→ これっぽいな。☆患者さんの目線な感じがする。

当てられる側ですね。

d 線量限度の適用

→放射線の量に限度をつけたら画像として

あらわれるくらいの放射線の量に届く感じはしないからおかしそうだな。

☆医療従事者の目線な感じがする。

当てる側ですね。

e 医療情報の標準化

→情報の標準化って、、

患者さんは一人一人病気も違うし、

診断の参考になる程度の放射線を

打つにはちょっと合わないかな、、、

☆医療従事者の目線な感じがする。

当てる側ですね。

どうでしょうか?

しっかり1つと4つにグループを区切ることは

できましたか??

なので、答えはその選べた1つが正解になるわけです。

☆☆☆今日のポイント☆☆☆

1.二項対立の考えを導入してみる。

2.答えの個数と合うように、

グループを分ける基準を自分なりに探してみる。

しらみつぶせ!!

以上のポイントを参考に有意義な受験生活をお過ごしくださいね。

実際に問題を解きながら他にはどんな疾患が考えられるのか生徒と先生が話し合いながら一つの問題からたくさんのパフォーマンスを引き出し、歯科医師国家試験という連想ゲームを楽しみながら受験生活を送ることが出来るかと思います。

(6年&既卒)〜ゼロ模試を終えて~ 模試の誤った活用法はやめよう!~

ゼロ模試が終わって、問題集を進めている時期かもしれませんが、どうお過ごしされているでしょうか??

「総合順位がめっちゃ悪いや。。。どうしよう、、、」

あるいは、現役生だったら「50〜60%台しか取れなくてやばいな〜〜涙」とか思ったりいたりしませんか?

今回は、きちんとした模試の成績の見方、これからの勉強についてアドバイスしていこうと思います。

塾生から聞いた範囲で、お知り合いの例(昨年の学習例)をいくつか出して、考えてみたいと思います。

①総合順位も低く、60%前半台を取ってしまったAさんの間違えた勉強法

Aさんは、ゼロ模試を受験生になって初めて受けることになりました。

ドキドキで挑んだ結果、60%台。。。

しかも、口腔外科が全くダメで、C領域がものすごく低い。

そんな彼女、領域Cの問題数が多いことに注目し始めたみたいです。

「私ってもしかして、、、口腔外科とか補綴やったら総合順位上がるかも?!やってみよう!」

と思ったAさんは、そのあと国試までひたすらに領域Cの分野ばかりをやり、模試での総合順位もよくなって、このままやれば私受かっちゃうかも…?!となったみたいです。

しかし、この勉強法果たしてよかったのでしょうか???

たしかに大手予備校の模試でいい順位を出したり、総合順位でいい順位を取るのには、この勉強は正しいのかもしれません。

しかし、ボーダーさえ越えてしまえば、それ以上高得点をとっても何の意味もないのです。

この時期は総合順位や総合%に目が行きがちですが、しっかり領域ごとに受験者数の3分の2に入れば受かるただそれだけの試験ですから。。。

そこにこだわって無限にある領域だけ集中的に勉強したり、模試でいい順位をとるためにアンバランスな勉強をしたりすることはやめておきましょう。

②模試の問題を丸暗記で、結果留年してしまったB君

B君は去年、残念ながら力を発揮することができず、もう一年頑張ることになってしまいました。

実はゼロ模試、前年の問題の””寄せ集め””と聞いたBくんは、無限に前年の問題を暗記し始めました。

するとなんと、学年で一番の成績。

90%近い正答率を叩き出してしまったのです。

彼は高飛車になったまま6年の1年間を過ごし、

なんとか合格したものの、結局最後は現役生多数に抜かれ、順位も芳しくないまま終わってしまいました。

果たして彼の勉強法は正しかったのでしょうか??

たしかに前年度と同じ問題が出る模試であり、

模試の過去問を解くことは、

模試でいい点数を取る上では大事かもしれません。

繰り返しますよ?

模試でいい点数、ですよ??

この勉強法を繰り返したところで、

☆☆自分の弱点科目、弱点分野がマスキングされてしまい、模試の意義がなくなってしまいます!

模試はあくまでスクリーニングなので、

学習したことを、見たことがない問題を模試で解くことで、学習の定着を見るのが本来の意義です。

模試の成績アップ=国家試験の合格に直結ではありません。

時間配分を図る意味で現役生のみなさんは先輩から模試の過去問を頂いたり、

メルカリで買う分にはいいとは思いますが、

それを模試の前だからといって解くのははっきりいって無意味です。

国家試験はあくまで母集団の3分の2にさえ

入れれば受かる簡単な試験です。

ある科目だけ繰り返しやってしまったり、

模試だけを解き続けたり、問題集だけを

やり続けるような生産性のない勉強法は

やめておきましょう。

いまならまだ引き返せます。

いいですか??

しっかり用法・用量を守って模試という

お薬を使ってみてくださいね。

(part9) 第114回 歯科医師国家試験 削除問題 解説 (必修 C-11)

第114回歯科医師国家試験の個人的にピックアップしておきたい問題をシリーズもので定期的に掲載しています。

本日紹介する問題は、C-11 です。

こちらは、問題として適切であるが、必修問題としては妥当でないため、正解した受験者については採点対象に含め、不正解の受験者については採点対象から除外された問題です。

歯周病の第一次予防はどれか。1つ選べ。

a 永久固定

b 歯周組織再生療法

c ルートプレーニング

d 不適合修復物の再治療

e オクルーザルスプリントの装着

まずは、歯周病の予防について整理していきましょうか。

ざっくりわけると

1次予防はまだ病気になっていない。

2次予防はスクリーニングしたら病気になっている。

3次予防は補綴したりリハビリしたり…って感じです。

そして、

1次予防は生活指導や教育が挙げられます。

中でも、歯周病に限って説明するのならば

・プロフェッショナルケア(PTC)

・不良充填物の再治療

・悪習癖の除去

・歯肉・歯槽骨形態の修正

・咬合調整

・フッ化物の応用などが挙げられます。

2次予防はもう病気になっているのが前提なので、

「エックス線でとったら歯槽骨溶けてたし歯周病だな」とか、「歯周基本治療」や「早期治療」といったように早期発見と治療がメインです。

あとはこれ以上酷くならないように

・歯周膿瘍の処置

・ルートプレーニング

・歯周外科処置

・抜歯

といったものが挙げられます。

3次予防に関しては、

・補綴治療

・必要であれば精神治療

といったものが挙げられます。

この知識をもとにもう一度問題を見てみましょう。

a 永久固定

→永久に固定する…ということはかぶせもので固定するわけなので、3次予防のイメージがありますよね?

b 歯周組織再生療法

→一度歯周病が進んで、それに対してこれ以上酷くならないよう再生療法をほどこすわけですから早期治療とみなして2次予防。

c ルートプレーニング

→SRPは歯周病の基本治療なので2次予防。

d 不適合修復物の再治療

→仮に、補綴物といったものを入れて治療を終えた時点で前回の治療の3次予防は済んでいるわけなので、1次予防に入るのかな…?!

(ただ、もし、たとえば下顎大臼歯の不適合修復物によって根分岐部病変が進んでいるのがデンタルで見えたりしたら、悩んでしまいますね。。)

e オクルーザルスプリントの装着

→スプリント。。

「ブラキシズムを持っている患者さんが仮に歯周病じゃないとしたら1次予防に入るかも」ですし、

「歯周病持ちで、ブラキシズムによって咬合性外傷をうけたらどんどんひどくなってしまうので、それを避けるとするのなら2次予防にも入ってしまうな…どうしよう。。。」

となるとdかeなんだけど、どうしましょうね??

ここで大事な考えを再度復習しましょう。

出題者が何を想定して問題を作っているのかです。

☆☆出題者の心理を読んで☆☆マークしていきましょう。

出題者の考えをくみとってみてください。

この問題、患者さんは歯周病””のみ””をわずらっていることを前提に問題作ってますよね?

単純に考えましょう。

そして、

歯周病って臨床実習を思い出してみてください。

BOP(+)だったり、ポケット4mm以上だったり、

動揺度があったり、炎症所見があったり…ですよね?

対して、オクルーザルスプリント。

どういう時に使いますか?

歯ぎしり持ちの患者さん用に使うイメージがありますよね??

上にも一言コメントでeの横に書いてみた通りの印象です。

誰もこの問題、歯ぎしり持ちで歯周病の人に対しての1次予防だなんて書いてないですよね???

このように、問題文を自分で勝手に勘違いして問題を解くことはキケンです。。気をつけましょう。

☆☆☆自分で自分の脳にバイアスをかけて問題を解いていませんか?

色ものメガネをかけずに目の前の事象を捉えてみてくださいね。

ですから、この問題、個人的にはdが正解だと思われるわけです。

ちなみに一言コメントで解説を加えさせて頂きます。

熱いポイントとして、口腔内装置について一言。

実は最近保険診療でいろいろ変わったのがこの項目です。

ここのへんは今回、詳しくは割愛しますが、、

口腔内装置の項目には、

・外科でよく見かける顎関節治療用のもの、

・☆☆歯ぎしりに対する装置

・止血シーネ

・手術に当たり製作したサージカルガイドプレート

・オブチュレーター

・気管内挿管時の歯の保護等のモノ

・保護床

・放射線治療(スペーサー)

といったものが入っています。

この中で歯ぎしり(ブラキシズム)について、

米国睡眠学会の臨床診断基準に

睡眠時の日常的or頻繁な歯ぎしりと

以下の2つのどちらかを満たすものをブラキシズムと定義しています。

1.睡眠時のgrindingに矛盾しない歯の異常な咬耗

2.睡眠時のgrindingに矛盾しない起床時の一時的な顎筋の痛みor疲労感or側頭部疼痛or開口障害

が挙げられ、

この定義に沿った歯ぎしりがある患者さんに対して、オクルーザルスプリントを作るのです。。

つまり、歯ぎしりも何も問題文に書いてないのに

☆☆勝手に深追いしてはいけないのです。

深く間違えて出題の意図を勘違いするのは危険です。

(((さらに補足))

臨床コラム:顎が痛いのっていつ?どんなとき???

歯科医師の現場においても、顎が痛いと訴えて

くる患者さんも少なくはないです。

仮に、右の顎関節が痛い患者さんを想定しましょう。

問診を取る中で、

・いつから痛みますか?

・どんなときに痛みますか?

(お口を開いたり閉じたりするときに痛みますか?)

・正面から見て左右の顎は腫れてないのか?

(感染によって顎が痛いのかの確認のためのフレーズ)

・開口量がたくさんある患者さんだったら、脱臼ばりにちょっと痛いほうの顎関節が、関節結節を飛び越えて過剰な運動をしていないのか?

・何か変なことを顎にしてはいませんか?

肘をついてしまったり、ぶつけてしまったり?

(外傷や習癖を疑うときのフレーズです。)

といったように、いろいろ問診を行っていると思います。

これと同じように前述の問題ですと、例えば問診の中、例えば。。。

☆朝起きた時に顎に違和感を感じますか?

疲れた感じがしませんか?

と聞いてみて口腔内を視診してみると咬耗が

全顎的にみえるとするならば、ブラキシズムを疑って、先ほどの診断名をくだして口腔内装置をつけれるかどうか考えてみます。。。

☆昼間に上の歯としたの歯、くっついたりして

いませんか?!というような質問してみるのであれば、

TCHを疑うので、患者さんには「安静空隙があるのが普通です」、とお伝えして、「歯がくっつかないよう意識してみてくださいね。。」

と指導してみるのです。

これと同じで恐らく、この問題は

歯周病(単体)で診断をくだした患者さんに対して

行う治療法なのかな、、、と考えて

不適合修復物をとりあえずとっちゃおう!ってなっているわけです。

でも、現実にはブラキシズムと歯周病両方持っている患者さんもいるわけですし、どっちから治療したりとか両方ともいっぺんに治療するのかな、、、(?)

マークシートと違って臨床ではいろいろ考えられるわけです。

ただ、今回は5択の問題なので複雑に考えないで解いてみてくださいね。。って

少しぼやいてみました。。。

問診ってむずかしいですね。。。

☆☆☆今日のポイント☆☆☆

1.出題者の心理を読んでマークしよう!

2.勝手に問題文を勘違いしない!!!

☆☆☆自分で自分の脳にバイアスをかけて問題を解いていませんか?

色ものメガネをかけずに目の前の事象を捉えてみてくださいね。

以上のポイントを参考に有意義な受験生活をお過ごしくださいね。

また、実際に問題を解きながら他にはどんな疾患が考えられるのか生徒と先生が話し合いながら一つの問題からたくさんのパフォーマンスを引き出し、歯科医師国家試験という連想ゲームを楽しみながら受験生活を送ることが出来るかと思います。